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ゲティ家の身代金のardantのレビュー・感想・評価

ゲティ家の身代金(2017年製作の映画)
3.5
大好きなミシェル・ウィリアムズと監督リドリー・スコットということで、本年上半期で、最も期待した作品だった。

しかし、心に響くものがない。

ミシェル・ウィリアムズ演じる母親に、3人の子供を独力で育てているいう健気さと覚悟が、全く観る側に伝わってこない。また、最終的にはどうなるかは別として、身代金の調達も含め、最初は義理の父に頼らずに、自分で模索し、どうにかしようという必死さが全く描かれていない。
だから、最初から他人任せの彼女に感情移入できるわけはないのだ。

逆に、大富豪ゲティの生きていく姿勢にうなずけるものがあった。彼は、正しいかどうかは別として、あそこで、身代金を払うということは、自分の今までの生き方を自分で否定することになってしまうという確固たる覚悟を感じていたのだと思う。
暖炉の前で、絵を抱え、死んでいく孤独なゲティの姿が悲哀を誘う。

物語の後半、息子を探す過程で、彼女が母としての凛とした姿勢を垣間見せる時があった。しかし、それは、彼女がゲティ家を引き継いでいくという申し出を受けた時点で、失われた。彼女は去っていくべきだった。それが、離婚して、ゲティ家と縁を切った時の、あなたが切った啖呵を生かすことになったと思うのだから。

実話にインスパイアされた作品だからといって、それを大胆に脚色することは、許されていたと思う。

作品の出来はともかくとして、相変わらず、ミシェル・ウィリアムズは魅力的だ。今回は薄めの化粧だったように思う。すごい美人ではないが、私は観ているだけで、幸せになってしまう。