スワヒリ亭こゆう

ゲティ家の身代金のスワヒリ亭こゆうのレビュー・感想・評価

ゲティ家の身代金(2017年製作の映画)
3.8
本作は実話に基づいた作品らしいです。
世界一の金持ちのおじいさんの孫が誘拐されるというお話ですね。


ただ世界一の金持ちというのはフリでして、世界一のケチの話というのが本作の狙いでしょう。


ストーリーは孫を誘拐されたけど身代金は払わないゲティ。
ゲティの息子と離婚してゲティ一家とは離れて子供を育てていたが、息子を誘拐されてしまい孤独に奔走する母親ゲイル。
誘拐されたゲティの孫ポール。
この3人の登場人物で構成されていくストーリーになってます。

息子を助けたい一心でゲティに懇願するもゲティに会うことも叶わないゲイル。
「ゲティは何で金を払わないのかなぁ?」と思っているとケチだからというシンプルな理由なんですね。
映画の内容がスリラーなので、緊張感がある映画ですけど、一歩間違えると喜劇になりそうな脚本でした。
せこい奴って笑えますからね。


中盤から終盤にかけて畳み掛けるような展開や、主人公3人の目線で描かれるストーリーが紡がれていく感じなど、なかなか面白かったです。
『悪の法則』がリドリー・スコット作品では近いかなって思いました。
映画と関係ないところで話題になった本作ですけど、単純に映画の内容だけで話題になって欲しかったです。
勿体無く感じました。

特にクリストファー・プラマーは素晴らしい演技でした。
ケヴィン・スペイシーのシーンを再撮影したのは知ってたのですが、あまりにもクリストファー・プラマーがゲティ役にハマり過ぎていてケヴィン・スパイシーがゲティ役だとは思えなかったです。

マーク・ウォルバーグのギャラの話もありましたね。
本作におけるマーク・ウォルバーグの影の薄さにビックリですね。
あまり出番もないし美味しい役回りじゃないから再撮影したくなかったんでしょうね。
リドリー・スコットは女性を強く描く事に長けている監督なので本作の様に女性が主人公の映画をどんどん撮って欲しいです。

ミシェル・ウィリアムズは、もっともっと評価されないといけない女優ですね。
本作で演じたゲイルという女性像は、あの若さでありながら、青年ポールという息子がいるという役です。おばさんじゃない微妙なラインの美しい母親像はなかなか難しい役どころだと思います。
この映画に出てミシェル・ウィリアムズも評価を上げた1人でしょう。