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ゲティ家の身代金のMASHのレビュー・感想・評価

ゲティ家の身代金(2017年製作の映画)
2.5
ケヴィン・スペイシーのことがあり、公開1ヶ月前に撮影し直したりと、制作過程でかなりゴタゴタした割にはきれいに収まったかなという感じ。しかし、個人的にはあまり好きじゃない作品だ。観ている間はかなりイライラさせられた。

一番の問題点は133分というそこそこの長い時間の中で、物語がほとんど進展しないというところだろう。はじめのシーンで子供が誘拐されてからずーっと身代金が払えなくて何もできないシーンが続く。決して退屈ではないのだが、退屈でない分余計にイライラさせられる。特に有能は人物が出るわけでもなし、ただただ金を払わない爺さんと、イライラしている母親がいるだけ。それでは映画的に盛り上がりがないとでも思ったのか、取って付けられたような犯人と誘拐された息子との友情的なもの。全く必要ないし、映画の焦点を余計にぼかすだけである。

しかし、その不必要な友情を抜きにして考えても焦点がブレブレであるように感じた。『アルゴ』のような緊迫感のある作品にしたいのか、『市民ケーン』などの全てを手に入れたものの虚しさを描きたいのか、はたまた『ウォール街』のような資本主義への批判なのか。肝心の何を伝えたいのかがブレまくっている。そのせいでどういう風に観ればいいか分からず、進展しない話にただただフラストレーションが溜まる。

俳優陣の演技はいいと思うし、決してつまらなくはない。ただ、イライラさせられる展開の連続とテーマのブレ、そして何よりクレバーに資本主義への批判をしているつもりなのが鼻につく。観た後にはスカッとするアクション映画でも観て口直ししたくなる映画だ。
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