Masato

ゲティ家の身代金のMasatoのレビュー・感想・評価

ゲティ家の身代金(2017年製作の映画)
3.4

ドケチを極めたジジイとの身代金対決

実話を基にフィクションを交えて作られた身代金映画。

他の身代金映画と決定的に違うのは、誘拐された孫の母親と祖父の身代金を払うか払わないかで争う映画だということ。誘拐犯は半ば蚊帳の外。この祖父のジャン・ポール・ゲティのドケチを極めた姿を堪能する映画です。ドケチ具合を新鮮に味わって欲しいので、細かくは言いません。正直コメディというくらいに笑ってしまいます。ケヴィン・スペイシーがセクハラ騒動でダメになり、代わりにクリストファープラマーですぐ撮り直しをして公開日に間に合うという神業を見せたわけですが、逆にスペイシーはちょっと役には若すぎたと思うので、結果的にクリストファープラマーのほうが良かったと思います。あの外見からしてキツそうな老害具合が最高でした。

ジジイと逞しい母親がお金関連で戦うのですが、実話なためか、大局的に描きすぎてどこを強調して描いているのかわからなかった。母親なら苦悩などにフィーチャーしたり、祖父ならとことんケチる真意などをフィーチャーしたりして、もっと主観的な部分を交えてドラマティックに描いて欲しかったところ。序盤と後半は面白かったが、中弛みがあって中盤はやや退屈気味だった。黒澤明の「天国と地獄」を見たばかりだから、余計目立った。

ケヴィンスペイシーの一件の後にも、撮り直し分のギャラがマークウォールバーグはかなりの額でミシェルウィリアムスはたった1000ドルとの騒動となってしまったが、マークウォールバーグはその後全額を寄付したとのことで、チンピラ時代を見る影もない良い人になったし、演技も最高なのだが、見た目が脳筋すぎて交渉人役に向いてなかった。
幸が薄いミシェルウィリアムスはまた幸が薄い役で見ていて辛かった。
リドリースコット監督はホラーから歴史物からSFからコメディからサスペンスまで、本当に監督の幅が広すぎて驚きます。80近いですが、こんな手堅い映画作れるなら、100歳まで頑張れそうですね。