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ゲティ家の身代金のCHEBUNBUNのレビュー・感想・評価

ゲティ家の身代金(2017年製作の映画)
3.0
【人類は堅牢なATMに闘いを挑んだ】
ケビン・スペイシーセクハラ告発事件により、お蔵入り寸前になったリドリー・スコット最新作。クリストファー・プラマー緊急参戦で秒で撮影&編集を終わらせ、プラマーをアカデミー賞ノミネートまで引き上げた驚異的作品『ゲティ家の身代金』を観てきた。本作は、吝嗇を極めた強欲の神ゲティおじさんに如何にして身代金を引き出すのかという話だ。

巷では度々、コンサルタント男子をATMとして使おうとしたら、「金を入れなきゃ引き出せないよ」とカウンターパンチに遭う女の話が話題となるが、ゲティおじさんの堅牢さはコンサルタント男子の比ではない。難易度星10個だ。ロシアのATM強欲のように、ATMごとショベルカーで奪っても金を引き出せない難易度がある。

元ゲティ一族の女が如何にしてゲティおじさんを説得するのかという攻防と当の誘拐された坊ちゃんのリアル脱出ゲーム話を巧みに交差させることで、長尺にも関わらず1秒たりとも気を抜けない一級サスペンスとなった。

モチのロン!クリストファー・プラマーは素晴らしい演技を魅せる。役作り期間ほぼ0にも関わらず、強欲の神、圧倒的悪魔感を醸し出す。勝てそうにないのだ。

こりゃ大満足、、、といきたいところ、流石はリドリー・スコットおじちゃんといいたいところだったのだが、詰めが甘かった。

折角、吝嗇を極めた強欲の神としてゲティおじさんを描いてきたのに、終盤のある展開で、「そんなに簡単に折れるの?」と思わずにはいられないシークエンスがあり、それにより物語は崩れてしまった。あんな妥協策を提示しておきながら、あれはどこから出てきたのか?と疑問が起きてしまう別ルートを取る。折角誤魔化せてきたある登場人物も再度出現させることで、意味ありげに見えるが、物語の機能として全く機能しない。やはり、一度製作をストップし、しっかり再考する必要があったのではと思った。

楽しい映画だが、何処かモヤモヤする作品であった。