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ゲティ家の身代金のチーズマンのレビュー・感想・評価

ゲティ家の身代金(2017年製作の映画)
3.5
自分の資産がいくらあるのか数えれるようでは富豪とは言えないらしい。

そもそも1973年ローマで起きたこの「ゲティ3世誘拐事件」を知らなかったこともあって、この事件が三者三様の視点からサスペンスに展開されてい物語に映画として楽しませもらった。

いやあしかしゲティお爺さんのドケチっぷりには驚かされるばかりだった。
しかも誘拐されたゲティ3世の母親であるゲイル(ミシェル・ウィリアムズ)が息子の解放の為に闘う相手はそっちかい、うわ大変だな世界一の富豪が孫の身代金出してくれないんだもの。
身代金を早く用意しろと催促の電話越しの誘拐犯に向かって「こっちは帝国が相手なのよ!」と逆ギレする場面は笑ってしまった。

しかしそれでもやはり今作の主人公はゲティお爺さんで、ケヴィン・スペイシーから急遽撮り直しで演じることになったクリストファー・プラマーが予想以上に良い演技でハマっていて、いかにも金の亡者的な無表情の奥になにか多面性を感じさせるニュアンスを帯びていた。
あと単純にクリストファー・プラマーが演じることでゲティお爺さんがどこかリドリー・スコット監督自身にも見えるのも良かったね。

それに比べるとスーツに眼鏡のマーク・ウォールバーグの違和感が…。


面白かったんだけど、全体的に散らばってたような印象があって、そのせいか130分という尺がやや長く感じたのも確か。
と言っても、ダレかけた頃にとても容赦無い場面があって緊張を一気に取り戻したりと、なんか上手いことやってくれてたからさすがに集中が途切れることはなかった。


リドリー・スコット監督の『市民ケーン』は冷淡なヴィジュアルが美しい重厚な誘拐サスペンスだというのも、監督らしいなと思う。
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