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ゲティ家の身代金のmのレビュー・感想・評価

ゲティ家の身代金(2017年製作の映画)
4.8
リドリー・スコット監督、またしても新たな境地に踏み込んだ。世俗離れした富豪一族の物語に沿って微かに奇妙な感覚を感じさせる硬派なサスペンス劇で、匠の技を堪能した。

例えば序盤で幼い孫にクリストファー・プラマーがある物を渡す場面での会話の裏側で何かが大きく動く気配を感じさせる演技や撮影、場面ごとのリズムはゆったりしながらもシーン終わりの切り方が微妙に速い事で全体のリズムが少しずつ速く感じられていく編集が巧み!

老人特殊メイクでバケモノ感を強調したケビン・スペイシーよりはリアルに老いを実感させるクリストファー・プラマーの方が結果的にはこの役には合っていたと思う(それにしてもこの分量を早撮りリテイクしたリドリー組の実力は空恐ろしい)。パワフルなミシェル・ウィリアムズも素晴らしい!
ロマン・デュリスはこういう役が本当によく似合う。

クリストファー・プラマーがただのケチな醜い怪物ではなく、孫への愛情も抱いた矛盾した『人間』として描かれていた事に好感を抱いた。
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