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ゲティ家の身代金のペジオのレビュー・感想・評価

ゲティ家の身代金(2017年製作の映画)
3.6
ゲティさんのキャラクター良し
身代金問題も単なる金の亡者って訳ではなく、彼なりの孫たちへの愛情故の理屈があったし、「何だか分からないが、騙されてる気がする」というお金なんて要らないという主張を全く理解できないところなんて可愛げすらある
それでいて支配者然とした佇まいには、威厳と恐ろしさがあって重層的なキャラだった

良くも悪くも映画自体以上に、その外側の顛末が語られがちな映画
ケヴィン・スペイシーの降板劇や、マーク・ウォールバーグのギャラ格差問題などは悪い意味でこの先もついて回る話題だろうが、実際のジャン・ポール・ゲティ三世の誘拐後の映画界との関わりや、この事件を元にした小説の2回目の映画化「マイ・ボディガード」の監督がトニー・スコットであったりだとかも個人的には好きな小ネタ

映画本編を観ていても過去の様々な映画との「繋がり」を感じる
(「甘い生活」「アラビアのロレンス」「市民ケーン」「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」etc…)
リドリー・スコット作品に限定しても、「悪の法則」のサイコパス的な悪の構造、「プロメテウス」「エクソダス」の全体の神話感、「エイリアン」「テルマ&ルイーズ」の男性社会に挑む女性主人公という構図なんかがあるか(タンカー出港シーンのSF的なバカでかさも「プロメテウス」とかっぽいと思う。)
案外リドスコの集大成的な作品かもしれない
前述のスキャンダルのせいでワイドショー的な消耗品として扱われてしまうのは不遇に感じるので何回も観たいです
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