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ゲティ家の身代金のペンソーのレビュー・感想・評価

ゲティ家の身代金(2017年製作の映画)
3.6
M・ウィリアムズ主演、R・スコット監督による実話を基にした物語。
M・ウォールバーグ共演。

R・スコット監督作品にしてはあまり話題に上らなかったような気がするけど、地味ながらかなり面白かった。
実話という部分において、本当にJ・P・ゲティのような人間が存在したのか、そしてこんな事件があったのかという驚きと、まさしく「母は強し」のお手本のようなM・ウィリアムズ演じる母ゲイルの強さが素晴らしかった。

お金に執着するJ・P・ゲティは孫が誘拐されても本人にとってははした金のような金額の身代金すら出さないという一般人からしたら前代未聞の人間。
身代金を払わないことで事態はややこしくなっていき、母ゲイルは窮地に立たされることになる。
そしてM・ウォールバーグ演じる交渉人のフレッチャーと共になんとか息子を救い出そうとする。

ゲティとゲイルの、義理とはいえ親族とは思えないようなありえないやり取りの数々。
ゲティにとってはお金が全てで、全ての出来事はお金が増えるか減るかの損得でしかない。
孫が誘拐されようとそれは変わらず、どんなことがあっても1ドルすら払わない始末。
世の中のお金持ちが全てこんな人間ではないだろうにしても、さすがにありえないなぁと思いました。

終盤のゲティに対するフレッチャーのセリフはスカッとした。

M・ウィリアムズは少し影のある暗い役が似合う。顔のせいかな。
そしてM・ウォールバーグが珍しくインテリの役をやってた。メガネが似合うんだか似合わないんだかよく分かりませんでした。

この作品、もともとJ・P・ゲティはK・スペイシーが演じていたということを後から知った。
セクハラ問題で事実上の引退となってしまったけど、こういう嫌な役をやらせたら右に出る者は確実にいないだろうというくらいに俳優としては素晴らしかったので、ぜひ彼が演じたJ・P・ゲティを観たかった。
わざわざ全てを撮り直すほどにセクハラ問題は今のハリウッドは敏感なのだなぁと思った。

世の中、お金は大切だけどさすがにもっと大切なものがあるだろうと感じざるを得ない作品でした。
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