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ゲティ家の身代金のdaiyuukiのレビュー・感想・評価

ゲティ家の身代金(2017年製作の映画)
4.0
“世界中のすべての金を手にした”と言われた世界一の大富豪、石油王のジャン・ポール・ゲティ(クリストファー・プラマー)の17歳の孫ポールが誘拐され、1700万ドルという破格の身代金を要求される。しかし、大富豪であり稀代の守銭奴でもあるゲティは、その支払いを拒否する。ポールの母ゲイル(ミシェル・ウィリアムズ)は離婚によりゲティ家を離れ、一般家庭の人間になっていた。彼女は息子のために誘拐犯だけでなく、ゲティとも戦うことになる。警察から狂言誘拐を疑われ、マスコミに追い回され、ゲイルは疲弊していく。一方、身代金が払われる様子がないことに犯人は痺れを切らし、ポールの身が危なくなっていた。ゲティはそれでも頑なに身代金を支払おうとしない。ゲイルは愛する息子のため、一か八かの賭けに出る。
1973年にローマで起きた石油王ジャン・ポール・ゲティの孫の誘拐事件を、巨匠リドリー・スコット監督が映画化した人間ドラマ。
実話を元にリドリー・スコットが映画を作る時は、単純な善悪ではなくリアルさを大事にするので一見地味だが、実話を元にしたリアルさの迫力がじわりじわりくる。
今回も、守銭奴で悪名高いゲティやゲティの息子の妻ゲイルやゲイルの息子ポールや誘拐犯の隠された複雑な人間性を描くことで、単純に誘拐犯とゲイルの身代金支払いの駆け引きの緊迫感のあるサスペンスだけでなく、息子に掛けた期待を裏切られ血縁を信じられず物や金しか信じられなかったゲティの複雑な内面やゲイルの息子を取り戻すための苦闘や誘拐犯を特定するまで何故時間がかかったかが骨太に描かれ、サスペンスフルなヒューマンドラマ映画に仕上がっている。
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