カツマ

エクスティンクション 地球奪還のカツマのレビュー・感想・評価

3.6
Netflixオリジナル映画の中でもコンパクトなSFサスペンスには隠された名品が多い。この『エクスティンクション 地球奪還』も、B級映画の予感を漂わせるタイトルとは相反して完成度が高い力作だ。
何しろ主演には『アントマン』や『オデッセイ』での名ヴァイブレイヤー役として強烈な印象を残しているマイケル・ペーニャを抜擢!単なる『宇宙戦争』のような物語かと思いきや、それだけでは終わらない。そう、この映画は確実にネタバレ禁止案件なのだ。伏線回収不可能を可能にしたその隠された一手に刮目せよ。

毎晩原因不明の悪夢にうなされるピーターは、その夢のせいで夜は眠れず妻のアリスとの関係もギクシャク、二人の娘との時間も作れないでいた。ピーターの症状は徐々に重くなり、ついには職場で悪夢に襲われ気絶してしまうほど。約束していた家族との外出もすっぽかしてしまう。
その夢とはピーターたち人類が宇宙から襲来する何者かに虐殺されるという恐ろしいものだった。
そしてあるパーティーの夜。ピーターは夢の後遺症で混濁する意識の中で、空から流れ星のような物体が飛来するのを目撃するのだが・・!

ブラックリストから選抜されただけあり、その脚本のパワーがこの映画をB級映画から脱したクオリティにまでビルドアップさせている。前半の予知夢のような伏線は確実に後半に回収されるため、ラストまで無駄なシーンは無く非常にスマートにまとめられた作品だ。

果たしてこんな未来が人類にも待っているのだろうか。だとしたらこの映画自体が予知夢なのか?SF映画をサスペンスとして味付けすることで、まだまだ映画のネタは尽きないだろう。先にやったもの勝ちなのだとしたら、この映画は正にしてやったり、といったところなのかもしれない。
カツマ

カツマ