群青

銀魂2 掟は破るためにこそあるの群青のレビュー・感想・評価

3.4
2018年劇場鑑賞29作目。


なんだかんだで、去年の邦画1位を取ってしまった映画銀魂。
その理由は前作でも書いたが、原作の地盤の強さにある。
あらゆるリアルのネタをメタにする。蓮舫でもZIPでも。それはすなわち映画がこけてもこけなくてもネタにできるということ。これが強い。
そしてそういうことを原作のファンたちは分かっている。これも強い。
それはどこから来るかというと、原作の空知の隙のない気配りとそれすらもネタにするクレバーなところ。
原作の質問コーナーでの回答は、ギャグ方向に書きながらその実、的を射たものになっており、質問者の想定の一枚も二枚も上手な回答になっている。
つまりこれまで培って来た原作とファンたちの絆の強さが地盤になっている。

何よりは、それに応えた監督の福田雄一の技量の高さがあるだろう。
キャラクターの顔というよりは雰囲気とそれを出せる演技力でチョイスしている。原作の良さを出しつつ映画らしい空気作りも重要視したのだろうか。俳優自身のアドリブも大事にしている。今作も佐藤二朗の魅力が爆発している。あれは卑怯笑
監督の中で最も俳優たちとの距離が近く、そして仲の良さが伝わって来る例は他にはないのではないか。なぜか海外のマーベルとその俳優たちを思わせる。

今回で使ったエピソードは原作でも人気な新選組動乱編。アニメでも主題歌のDOESの曇天が人気に一役買っていた。

構成としては序盤から中盤はギャグで徐々にシリアスになっていく。前作と同様だが、前作で世界観の説明は終わっているので冒頭のあのパロディからすでにフルスロットル笑

ギャグはこれまた人気の将軍シリーズ。個人的に大好きな床屋のネタがあったのが嬉しい。もうこれは床屋が映った瞬間から笑ってしまった。これは本当に再現度が高いのでオススメである。

肝心の本編はキーキャラクターの伊藤鴨太郎による新撰組の危機。
伊藤を演じているのは三浦春馬なのだが正直特に期待も絶望もしていなかった。しかしこれがまさかのクオリティ。
喋り方、佇まい、挙動。その全てが伊藤鴨太郎のそれであった。かなり驚愕した。三浦春馬、こんなに演技が上手くなっているとは。
作ったようなセリフや、人を食った態度。ともすればどうしてもアニメっぽくなるような台詞回しも自然そのもの。
あまりにびっくりしてその素晴らしさをツイートしたら彼のファンによって結構ファボられた笑
ファンも厚い人気俳優が演技面でも確かな結果ならそりゃ面白いよなと。


アクション面は前作よりパワーアップ。この作品、コメディでなのに殺陣がすごいのである。相手と戦う空間とキャラクター別の戦い方をしっかり表現している。河上万斉の圧倒的な強さ、沖田と神楽のコンビネーション(原作ファンも吉沢亮&橋本環奈ファン全員が納得のアツいシーン!)。日本のアクションでこんなにちゃんとしてたのはるろうに剣心くらいではないだろうか。

まあでもシリアスな話は前作から引き続き(というか原作がそうなんだけど)説教くさいのでどうしてもスピードが鈍重になる。でも前作よりはある程度緩和されていたかな。
鈍重にならないようにいい意味で原作を少し改変していた。どうでもいいが、今作のジ◯◯ネタ、公開日と同じ日にやっていた金ローの作品を考えると、ほんと“持ってる”と感心した笑

安定した面白さを持った漫画実写化はまことに稀有である。だからこそ映画版だけでは惜しい。是非とも。是非ともテレビドラマシリーズをして貰いたい。


最後に。エンディングのあのネタは本当にずるい。一番笑った。



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