本作の評判は聞いていましたが、当初の目当てはファン・ジョンミンでした。ただ、作品としてもかなりレベルの高い作品でしたね。
舞台は1992年、韓国と北朝鮮の冷戦状態が続く中、今でも北朝鮮の核問題というのは話題になったりしますが、その潜入調査を試みたのがファン・ジョンミン演じるパク・ソギュンですね。
本作での彼はスパイの顔と商売人の顔の二面性を演じ分けなければいけないわけで、特に失敗の許されない任務だということを加味すると、商売人としてのパク・ソギュンは完璧に演じないといけないわけですね。
そういう難しいところでのこのファン・ジョンミンですよね。最高にハマってましたね。少し胡散臭さもありますが、それ故に後半への含みも持たせている意図もあるでしょうし、さすがの安定感でしたね。
失敗が許されない任務、と言いましたが、失敗すると単純に死に繋がるからとかいうことではなくて、やはり舞台が北朝鮮だというところに怖さがありますね。
一応本作は事実を基にしたフィクションらしいですが、北朝鮮のイメージって正直徹底した組織って感じで闇深さがありましたが、本作はピタッとそれにハマるような演出だったように思います。
特にあの金正日に会いに行くシーンですよね。検査の過程や船での脅迫なんかは想像以上の徹底ぶりでしたし、いざ本人に会う時のマナーまで指示される徹底っぷり。視線までコントロールされるもんかね、普通。
まあとにかくあの国に潜入していく作品って見たことがなかったので、そこも新鮮でした。
ここからはネタバレにもなりますが、本作の見どころはやはりリ所長との関係性ですね。
大統領選などで上からの圧がかかったとは言え、潜入捜査が無に帰してしまう可能性が出た時に、一見自国を裏切る行為のようにも見えますが、実際は国を思っての行動を取る二人。何なら何となく互いに事実に気づいていて、尚それでも知らないフリをした二人の絆。
互いの命。立場。そういうものを考えると一切口外できず、安否すら確認できない中でのラスト。時計とタイピンで繋がる二人。シンプルに熱くなりましたね。