Yuto

GODZILLA 決戦機動増殖都市のYutoのレビュー・感想・評価

GODZILLA 決戦機動増殖都市(2018年製作の映画)
3.6
--彼らは宇宙知性に合一しようとしてるのではなく、まるで怪獣と同質のものになろうとしているかのようだ。


決戦起動増殖都市。それ即ち論理の化身。
20年前、地球への移住を希望し来訪した異星人ビルサルド。彼らが開発した対ゴジラ最終決戦兵器・メカゴジラは起動寸前でゴジラに破壊されたが、それを構築する物質〈ナノメタル〉は2万年もの間増殖し続けていた。


アニゴジ第2章。
本作からこの「GODZILLA」3部作のテーマに深く食い込んでいきます。そして新たな種族フツア("ゴジラ化"した地球に住む人型種族)も登場します。
やはり映画としての欠点は多々ありますが、全て書くと長くなり過ぎるのでここではあえて触れません。


前作『怪獣惑星』のレビューにも書きましたが、本シリーズには一貫した哲学的テーマがあり、地球人、エクシフ、そしてビルサルドの3種族がゴジラとの戦いの中でテーマに対し異なるアプローチの「答え」を提示します。
そのアプローチとは簡単に言えば種族のイデオロギーです。

ビルサルドのイデオロギー。それ即ち論理に基づく「制御」。その対象は環境、いや惑星とて同じ。本作のサブタイトルを意味する〈メカゴジラ・シティ〉は彼らのイデオロギーの象徴であり、ナノメタルはそれを体現するものである。
そして「怪獣=ゴジラ」とは、人知を越えた環境の支配者であり、それに打ち勝つには自らもまた人知を越えた存在、つまり「人ならざるもの」にならなければいけない。
迷いなど、とうの昔に捨て去った。

劇中、ビルサルドは地球人の常識では考えられないような爆弾発言を連発しますが、それらは全て論理的帰結であり筋の通った発言です。なのでそれを論理的に否定することは不可能です。


地球人とビルサルド。「ゴジラ」を核にした2つの種族のイデオロギーの衝突。私が思うに、そこが本作最大の魅力です。そして観終えた後も心に残ります。

ラスト、ハルオが決断を迫られるシーン。その選択肢の残酷さは、ぜひ本作を鑑賞してご確認ください。
Yuto

Yuto