Kaoru

エンテベ空港の7日間のKaoruのレビュー・感想・評価

エンテベ空港の7日間(2018年製作の映画)
3.2
サンダーボルト作戦ってね、たくさん映画化されているんだけれど、実際派遣されたイスラエル特殊部隊で指揮官を務めたヨナタン中佐(映画の中でアレのあの人ね)の弟の手記を基として描かれている作品が多く、ほとんどが「パレスチナは悪い、イスラエル万歳!」に偏った表現が主だっていたの。

個人的な好みなんだけどね、実話を、特に戦争や争いごとなんかを映画にする際にどうも一方の視点だけで描かれるものが好きではないのだけれど、この作品はどちらにも寄ってなかったと思うの。そもそも実行犯の4人がPFLPとRZの共同作業って時点で、内輪モメも見えたことなのだけれども、心の揺らぎがあったボーゼですら同情目線では描かれてなかったわ。

ボーゼを演じたダニエル・ブリュールがグッバイ・レーニンに出てた時に、こんないい俳優になると思ってなかったわ。アタシはスペイン語を話すときの彼にキュンとしてたから(てか、もう完全にタイプ♡)「サルバドールの朝」の演技を見て本当大好きになった。
あの作品でも彼はテロリスト役。大したことはしていなかったのにフランコ政権の見せしめとして死罪になったお話だったわ。彼に心の揺らぎを演じさせたらば、お姉さんほっとけなくなるわ。

地味で大展開などない映画だけれども、教養になる作品。
ロザムンドパイク演じるブリギッテがフアンに電話をかけるシーン。胸が痛くて辛いけれどとても印象に残るシーンだった。彼女の怪演もさすがです!
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