Kota

Love, サイモン 17歳の告白のKotaのレビュー・感想・評価

Love, サイモン 17歳の告白(2018年製作の映画)
4.6
“You deserve everything you want”

[Filmarks950本目]どの時代にもその時を象徴するような映画があるけど、これは2010年代を象徴する映画の一本だと自信を持って言える。ハリウッドのメジャースタジオが10代のLGBT映画を製作したのはこの映画が歴史上初めて。必ず観ておくべき作品。是非このレビューでたくさんの人に知って欲しい。タイトルの意味が分かった時、きっと温かい気持ちで胸がいっぱいになる。

LGBT映画は“コールミーバイユアネーム”や“ムーンライト”のように最近は良作が多いけど、この映画はそれらの官能的な愛とは少し色が違う。何処にでもいる普通の少年の日常と、非日常である“カミングアウト”に焦点を当てている。サイモンのセリフに「なぜゲイだけカミングアウトをしなければならないのか。」とあるが、今まで考えたこともなかったけどその通りだなと。なぜゲイの人だけが自分を偽っている気持ちになり、人生の一大イベントであるかようにカミングアウトをしなければならないのか。例えば「ベジタリアンなの」とか「キリスト教徒なの」と同じようにその人の一要素なだけなのに。そのような問いが生まれること自体に時代の変化点を見たような気がする。主演ニックロビンソンの弟はこの映画を観た後にゲイをカミングアウトしている。

舞台は原作のままのアトランタ。他の作品では違う街を“アトランタっぽく”撮ることがあるけど、これは実際のアトランタ郊外の学校やカフェやダイナーを使用している。この気取らない舞台にニックを初めとした、マイルズハイザーやキャサリンラングフォードなど、今をときめく俳優陣。加えて母親役に個人的に大好きなジェニファーガーナー。これだけで満足ではあるけど、監督はリアルを追求するために、撮影中に「カット」といったあとも敢えてカメラを回し続けたそう。それにより演技でない若者の等身大の会話や仕草がこの映画の中には垣間見える(車の中で曲に合わせて踊るシーンなど)。そしてこれぞ21世紀と言わんばかりにメールやSNSが当たり前のように生活の一部であり、この物語を語る上でも重要な要素となっている。

原作の“Simon vs the Homo sapiens agenda”はもっと細かく彼らが描かれているし、英語の割に読みやすいからこちらもおススメ。いかんせん原作を先に読んでしまったから、映画を丸くまとめるために付け足されたシーンに少しだけ違和感があったけど、総じてこんな素晴らしい作品こそ日本で上映されるべき。なんでBlu-ray輸入しなかんねん。

P.S.作中でサイモンが使っているGmailアドレス宛に実際にメールすると、「why are you emailing me when you could eating Oreos? Love,」(どうしてメールしてくるの?オレオでも食べてなよ。)と、彼の偽名であるJacquesから返信が来る。この遊び心たまんないなぁ…。

PPS.邦題ダセェ…