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Love,サイモン 17歳の告白のひばのレビュー・感想・評価

Love,サイモン 17歳の告白(2018年製作の映画)
4.0
むごいな。カミングアウトの解放感をこれほど丁寧に描いた作品はないと思う。とても前向きで、素敵な家族や友人がいて、残酷だけどそれを乗り越えた先には幸せがあって。これは多分私みたいな考え方する人がそんないないと思うから、もしこの映画に肯定的な感情を持ってるなら読まないでほしいのだけど。
劇中大勢がいる前で自分の思いの丈を解き放つシーンが何回もあるんだけど、それを向けられたときにyes/noの選択肢があったとしてもセンシティブでパーソナルな感情をこちらも解放することを願っている時点でそれはyesを強制してると思う。堀を埋められ壁際に追い詰められた状態でnoを表現するのはかなりの勇気が必要だ。なんというかフラッシュモブへの嫌悪感と似たようなものを感じる。この映画自体は『君にはyes/noの選択肢があるけど、カミングアウトは素晴らしいよ!』という締めくくりであるけど、そこにはやはり『カミングアウトしなよ!』という威圧を感じるんですね。自分の気持ちを言わないことに対して罪悪感を持たせるやり口のような、それはちょっとずるいんじゃないか。終盤みんなあの人が好きだったのに~とカミングアウトしまくるので、いや一人くらい自分の想いをぐっと心に押し留めた人がいてもいいんじゃないかと…映されなかっただけかもしれないけど、映さないからこそカミングアウトはしたくない人こそマジョリティであるということを表現したかったのかもしれないけど、やっぱ全体的に見るとそうは思えない。太陽の下は気持ちいいけど、日陰も居心地いいのに室内も自分の最適な環境が整っていても、そんなとこにいないで外に出ようよ!とアウトドアを推奨しインドアを微妙に否定するような、日陰にいたがる人たちには厳しい映画だ。私は結構へこんでしまった。ちょっと自分の考えが意地悪すぎかな。私が秘密主義の人間だからこう思うだけかも。秘密主義っていうのは本当は言いたいのに言えないんだ…っていうんじゃなくて、言わないことが普通な人間もいるのだ…言う必要のないことだと…私のようにね。ただ彼らやこの映画の気持ちは尊重したい。そういう考えも勿論ありだ。フレッシュで後味もいい。一歩前に進みたい人には素晴らしい映画だと思います。ニックロビンソンくんの笑顔は『キングスオブサマー』でもかなり感じたけどとてもキュートだね。ジョシュデュアメルが出てて、レノックス大佐!レノックス大佐!!とテンション上がった。あと君、また良いやつ役やってたんだね、お名前覚えないとね、ジョージレンデボーグJrくん、OK~
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