新年一発め、強く爽快な気分とともに今年を迎えられそうな映画だ。
容姿に優れない主人公がある事件をきっかけに、自分が美しいと勘違いし、自分自身に自信を持ち始め、人生を変えていく。そんなプロットは作品を見ようとする人ならもう知っていることだと思う。だからその後、彼女にどんなことが待ち受けているのかも、ある程度予想がつく。
それでも本作を見た人誰しもが颯爽として劇場を後にするのは、作品が自分たちが忘れてしまったことを的確に言葉にして私たちに届けてくれるからに違いない。
きっと誰しもが生まれながらにして、ある程度の自尊心をもっているはずである。だけど、幼少期から学校生活で集団と関わり、誰かから心無い言葉を受ける。そして私たちはいつのまにか自信を失って、静かな大人になっていくのだ。
誰しもが特別で自信を持っていい存在なのよ。
そんなことは虚言だろうか。
現実は映画と違うから、自信に溢れても仕事や恋愛がとんとん拍子にうまくいくわけはない。けれど、あらぬ自信を持つことで、きっと今の状況が少しでも好転できると、そう信じさせる力がこの映画にはある。
作品の最終部のプレゼンは、泣ける。それは、主人公でも、世の容姿に優れない人に向けたものでもなく、他ならぬ自分に向けられた涙だった。
2019年のスターターピストルとして最高の本作だ。そして、フィクションが現実に影響を及ぼしてくれる、シンプルだが強力な一つの例として僕はこの映画を強烈に推したいと思う。