さいらー

プーと大人になった僕のさいらーのレビュー・感想・評価

プーと大人になった僕(2018年製作の映画)
4.8
"何もしないこと"は最高の何かにつながる。
くまのプーさんという作品、そしてなによりこの『クリストファー・ロビン』が掲げる最大のテーマがそれだ。


すっかり歳をとって仕事人間になってしまったクリストファー。なにより仕事を優先させるばっかりに、妻と娘とはすれ違いが続く。そんな時に仕事が佳境に差し掛かり、家族との時間はますます減っていく。そんな精神的に追い詰められたとき、もう何十年も前に別れた友達。プーと再会する。


少年時代、プーとの別れ際に語った「何もしないこと」
『くまのプーさん/完全保存版』(1977)のラストシーンを実写に置き換えたシーンから物語は始まる。
大人になった今、もはやこのシーンだけで泣く。
そして再会した今、プーの語る「僕は"何もしない"を毎日しているよ」という言葉。"何もしない"が出来なくなったクリストファーと、"何もしない"をしているプー。
このテーマが物語と完全に結び付き、やがてクリストファーは最高の答えに辿り着く。仕事においても、人生においても最高の答え。


上手い。思わず唸るほど上手い脚本に理性で感心しながら、感情は常にボロ泣きしている。それなのにとても楽しくて、常に笑いが絶えない。



日本で働く社会人みんなに観てもらいたい。そしてこの映画の示す答えをみんなが実践できたなら、きっと世界はもっと良い方向に変わっていくだろう。