菩薩

プーと大人になった僕の菩薩のレビュー・感想・評価

プーと大人になった僕(2018年製作の映画)
3.2
俺もかつては人のプーさんとして、わずか1エーカーにも満たない自室に閉じこもり、長らく無給でありながら自宅警備員なる社会奉仕に身をやつし、ハチミツよりも辛酸を舐め尽くした経験があるため、何をしないをし続ける事がどれほど困難で、また根気を必要とする作業であるかは熟知しているつもりである。だが考えて欲しい、プーさんさん(以下、敬称略)が日がな舐め続けるハチミツを集めているのは一体誰であるかを、彼は働き蜂、いや労働者が汗水流して集めて来たその辛苦の結晶を、ただ搾取し続ける資本家でしか無いと言う事を。その背後には資本主義社会最大勢力であるディズニー帝国主義が聳え立っており、彼等が「夢の国」と呼称する日本のマイアミビーチに建設された二つのテーマパークでもまた、高いチケット料金、耳、ポップコーンなどによって、半永久的に搾取が続いているのだと言う事を。それでも何故我々は、今日も、そして明日からも東京駅地下の長過ぎる地下通路を渡り舞浜へと足を向けるのか、更に追加料金を払いドローイングクラスで消しゴム使用不可の厳正なルールの元キャラクターの似顔絵を書き、ビックサンダーマウンテンを後ろ向きで乗り若干首を痛め、皆がパレードにうつつを抜かしている間に北斎でヒレカツ御膳を食すのか。プーさんは問いかける、それは風船よりも大切な物なの?と、そして雫のお父さんも娘に向かって今やっている事は勉強よりも大切な事なのか?と問う、そして俺は断言する、風船よりも勉強よりも大事な物がある、それはおっ……(以下、検閲により削除)

度重なる素行不良により退職を余儀なくされたキャプテン・デイビスは、きっと昨日も荒れ狂う空を見上げながら緑のチカチカとおやつのピーナッツをチェッ〜ク!していた事であろう、かつて首から「勇者のメダル」を下げられた者達は、今日もクライアントに向かってその頭を下げているのだろうか、一生抜く事が出来ないゴーカートの、あのキャン玉に響く振動を思い出しながら。ディズニー帝国がかつて子供であった全ての大人に向けて送る辞職勧告、及び有給消化のススメ、それでも我々はハチミツよりも苦い肝を舐め続け、痛みに耐え薪の上に身体を横たえ続けねばなならない、人はプーさんでは、生きられないのだから…。
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