「僕を捨てていいよ……。」
想像以上に面白かったです!
大人に向けて作られた子供映画。
アートワーク等で100エーカーがもうあの世にしか見えない〜なんてネタで言ってたけど、実際前半なんか もうホラー映画のトーンでしたね。
でもそれくらい色のなくなった世界がだんだんと色彩を帯びて行く過程がなんとも感動的でした。
お話自体はすごくわかりやすいもので、
仕事ばかりで家庭を顧みなくなってしまった大人が幼少期の思い出に触れ、家族の大切さを再確認し、絆の再構築をする。
「インサイド・ヘッド」を観た大人を物語にしたら本作になります。
それでもものすごく哲学的なんですよね。
プーさんの無垢すぎてクレイジーな思考回路から出る言葉のひとつひとつに、僕らが当たり前に受け入れてる世の中の矛盾に気づかされハッとする。
実際の世の中、プーさんの言うような理想通りにはならないですが、
本作のすごいところは、
《家族との絆の再構築》
という物語的命題はもちろん解決しながら
物語内でクリストファー・ロビンが抱える
《仕事の問題》
にも、ちゃんとプーさんの言ったこと、"トンケン"を通じてクリストファーが学んだこと、そのすべてを踏襲し、ちゃんと理屈の通った解答を出してるんですよ!
それっぽい綺麗事を信じて「よし、明日からまた頑張るか!」とか、ましてや仕事を辞めてしまう…みたいな逃げ方は一切していないところに全力で脱帽しました!
まぁそんな小難しいこと抜きに、エンターテイメントとしてむちゃくちゃ面白いです!
プーさんやそのほかの仲間たちとの会話のうまい具合に噛み合ってないのもたまらなく可愛いし、可笑しい。
また あぁいう小動物系キャラ(今回はぬいぐるみだけど)が人の家にくると家具とか何もかもメチャクチャにするのがお約束!
しかもプーさんはおっとりしてるのにドンガラガッシャンですから、もうそのギャップがたまらないです。
ロンドンの街を舞台にしたスラップスティックコメディも最高で、とくに「パディントン」で共同脚本とちょい役で出演していたサイモン・ファーナビーが出てくるシーンが最高!
そしてラストはあの綺麗な景色と幸せな光景に心底グッときました。
とにかく100エーカーの森が愛おしく撮られていて、ウットリさせられますよ。
子供が見ても最高に楽しい映画だし、大人が見ればよりハッとさせられる、ある意味スリリングな映画でもあるので、本当すべての人にオススメです!!