Akiyoshi

プーと大人になった僕のAkiyoshiのレビュー・感想・評価

プーと大人になった僕(2018年製作の映画)
3.8
人生で初めて使う事ができた「有給休暇」の日にプーさんに会いに行った。

どんな職業についていても、世界のどこにいても人は仕事のせいで私生活を犠牲にしがちだ。童心を忘れて、仕事ばかりに気を取られていると人生で1番大切なのは何かということさえも忘れてしまう。プーはクリストファーロビンと観客にそれを問い続ける。

もともと狂ったような世界観を持っている「くまのプーさん」の物語をディズニーが実写化するとのニュースを聞いたときには思わず「え?どうすんの?」と驚きを隠せなかったものだ。近年のディズニーはアニメーションを飛び越えて実写に力を入れてきた。ファンタジーの世界を実写化できる時代になってきたのだ。「アリス・イン・ワンダーランド」「シンデレラ」「マレフィセント」「ジャングルブック」「美女と野獣」「くるみ割り人形」「ダンボ」「ムーラン」「アラジン」「リトルマーメイド」「ライオンキング」「ピーターパン」などなどが実写化&実写化予定だ。無理難題に感じられるがディズニーなら面白いものを世に出してくれる。そんな気がしてワクワクする。

プーさん実写化にこういうテイストで挑むとは。余裕を無くした大人たちへ送る「何もしない」勇気。社会の歯車の1部となっている私たちが永遠とも感じる歯車を回し続ける必要などなく、ときには止まり錆を落としてからでもいんじゃないの?と訴える。なんの為に働いているのか、命と時間を削ってわざわざその場所にいる意味があるのかを考えさせる力が本作品にはある。

プーさんやその仲間たちは魅力的で特にイーヨーが愛おしくて仕方ない。みんな相変わらずだなぁと久しぶりに感じるこの気持ち。懐かしさ、そしてどこか昔を失ったような寂しさを感じた。

昔は良かった。何も考えずに感情の赴くままに遊び続けた無邪気な日常が良かった。と言い続ける話ではなく、大人になっても思い出は色褪せないし、振り返ることも必要だよと言ってくれる。前だけ見てると、どこを歩いてきたか忘れてしまうよ。ちょっと立ち止まって周りを見れば、新しい道が広がっている。そして周りには大切なものがたくさんある。大事なのはそれに気づくこと。後ろを振り返ったり周りを見渡してみると、人それぞれのプーさん🌼🐝🍯🐻がそこには居るかもしれない。
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