『くまのプーさん』のその後を描く物語。ディズニー映画は近年実写化が著しいが、オリジナル作品のその後を実写にしたという点が斬新。少年だったクリストファー・ロビンは仕事人間の大人へ。100エーカーの森で暮らすプー達は年月が経っても変わっておらず、その対比が皮肉だ。ぬいぐるみの質感をリアルに表現した原作キャラクター達の愛らしい姿と、100エーカーの森の再限度は何ともファンシー。コミカルな作品性に子供受け間違いなしだが、本作は大人へ向けてのメッセージ性が非常に強い。純粋だったクリストファーが大人になり、社会で生きる中で大切なものを忘れてしまっている。何も変わらないプー達は変わってしまったクリストファーに悲しさを表す。観る側の大人にびしばし突き刺さる内容だ。仕事で責任を全うしなければならない、妻と娘を養うために頑張らないといけない。子供の時とは違うんだとそう思う。でも本作では何が大事なのかをプー達に教えられるわけだ。「何もしないことは最高の何かを生み出す」は本作のキャッチフレーズ。現代人は忙しく、特に日本人は真面目すぎるあまり過労さが問題になっている。もっと楽しくていい、もっと遊んでいい、もっと休んでいい。何もしないことをしようよ。最高の言葉だと思う。あくせく生きて余裕のない毎日で失うもののほうが多いんじゃないだろうか？のんびり過ごしていたら凄いひらめきを生み出すこともある。努力や勤勉ばかり美徳とされがちな世間の常識を考え直すきっかけを与えてくれる。いつまでも子供ではいけないと言われるけれど、なくしてはいけない、変わってはいけないこともある。それを思い出させてくれるのがディズニーの素晴らしい所。いい映画だった。次、ディズニーランド行ったらプーさんのハニーハント乗ろうっと。
