ノラネコの呑んで観るシネマ

スモールフットのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

スモールフット(2018年製作の映画)
4.7
素晴らしい。
これはもっと力を入れて公開して欲しかった。
天空高くそびえる雪と氷の山にあるイエティの世界は、古からの「石の掟」で全てが決まる。
だが主人公のミーゴが、掟で存在しないことになっているスモールフット(人間)と遭遇したことで、掟の信憑性に綻びが生じる。
保守的な大人たちに反発を募らせるナードな若者たちは、スモールフットを捕まえて掟の矛盾を暴こうとするのだが、そもそもなぜ嘘の掟が作られたのか?その訳を知ったミーゴは葛藤を募らせる。
人(イエティ)は無知な方が幸せなのか?真実を知った上で困難に向き合うべきなのか?
ビジュアルは緩いが、描いている内容はもの凄く高度。
心を打つ台詞の数々素晴らしいのだが、これ「シャーロットのおくりもの」や「チキンラン」など多くの名作児童映画の脚本家、キャリー・カークパトリックが脚本兼監督じゃないか!
そりゃこの出来も納得だ。
この映画で描かれることは、基本的に現実の世界のメタファーで、イエティと人間が互いに鏡像となる構造は誠に秀逸。
掟の嘘が破綻した後も、白を黒と言い続ける族長はどこかの首相を見ている様だった。
エンタメと子供でも十分に理解出来る社会性のバランスが見事だ。
ブログ記事:
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