TaiRa

スモールフットのTaiRaのレビュー・感想・評価

スモールフット(2018年製作の映画)
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信頼と実績のWAG(ワーナー・アニメーション・グループ)製作による初のミュージカルアニメ。

まずスタッフを見ただけで醸し出される安心クオリティ。監督は『森のリトル・ギャング』などドリームワークスで主に仕事をしていたキャリー・カークパトリック、製作・脚本にグレン・フィカーラ&ジョン・レクア、そしてWAG作品で監督を務めて来たフィル・ロード&クリストファー・ミラー、ニコラス・ストーラーが製作総指揮に名を連ねている。『怪盗グルー』シリーズの原案者セルジオ・パブロスが今作の原作者で、音楽も『怪盗グルー』シリーズのエイトル・ペレイラが担当。名うてのアニメ・クリエイターが集まったのが今作。山のてっぺんで外界を遮断して文明を築いて来たイエティの村があり、その中で暮らす主人公がひょんな事から人間(彼らにとっては伝説の生き物スモールフット)と遭遇。山の下に広がる雲海の向こうにも世界があると気付いた主人公は、人間と交流して行く。イエティたちを縛るのは石に刻まれた教えである。自分たちの住む山は2匹の巨大マンモスが支えているとか、空を飛ぶ光り輝くカタツムリを銅鑼の音で起こすと夜が明けるとか、どれも非科学的な教えである。つまり人間がかつて信じていた様な世界の在り方をイエティたちは信じさせられている。人間と出会い教えに疑問を抱いた主人公は村を追放されるが、懐疑派(村ではオカルト系と見られている)のイエティたちと外の世界を発見する。動物紹介番組で有名になった落ち目タレントの人間と友情を結び村のイエティたちに紹介する。イエティたちはあらゆる人間文明を知る。それに触発されたイエティたちは車輪を発見し、芸術を発見し、飛行機を発見する。そして教えの嘘を知り実存主義的な苦悩まで経験する。主人公の家系は先祖代々夜明けの銅鑼を鳴らす仕事を担って来た。主人公の父親も空に光り輝くカタツムリがいないと知ると自分の生きる意味を見失う。主人公は、先祖たちと違う形で村人たちを目覚めさせた。最後は村に民主主義まで誕生し、民族融和、文明の共存を打ち出し人間へ新たな気づきをイエティたちがもたらす。如何にもワーナーアニメらしいスラップスティックなギャグもスピード感があり笑わせる。崖から落ちる時に一旦空中で停止するなんて古典的な演出もいちいち楽しい。イエティと人間では言葉が通じないのだが、それを表現する視点の入れ替えも面白い。地味に好きなギャグは俯瞰視点で急にパックマンやるとこ。
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