みおこし

ミッシングのみおこしのレビュー・感想・評価

ミッシング(1982年製作の映画)
3.6
ジャック・レモン作品コンプリートに向け鑑賞。

1973年、クーデターの最中の南米某国で妻のベスと暮らしていたアメリカ人青年チャールズが行方不明になる。彼の父であるエドとベスは手がかりを求めて奮闘するが、その裏にはアメリカ国家の陰謀も関係しており...。

ヘビーな作品3本目。これが実際にあった事件を基にしているというからまたすごい...。
絵本作家でありながら左翼思想を持っていた息子のチャールズの行方を巡って、ジャック・レモン扮するエドとシシー・スペイセク扮するベスが危険を顧みず決死の捜索に踏み切るのですが、とにかく当時のチリの惨状がリアル。(作中ではチリとは言及されません)
常に銃声が鳴り響き、遺体も地面に転がっている状況。いくら視野を広げるためと言えども、どうしてあの地で暮らすことを選んでしまったのかと思うと悔やんでも悔やみ切れません。
捜索する過程で、様々な不可解な事実にぶち当たり、観ているこちらの推理も二転三転する展開はかなりスリリングでした。だからこそあのラストはより深く考えさせられましたが...。

時のチリのアジェンダ政権は社会主義的要素が強かった為、アメリカ軍は対する反対勢力に協力。こういった背景もあり成功したクーデターが残したものは、ピノチェトによる独裁政権。こちらも長くは続かなかったものの、いかにチリが暗黒の時代に晒されていたかが本作でもよく分かりました。暮らしている国だけに留まらず、自分たちの母国でさえ信用できなくなる恐怖、想像しただけでゾッとします。

遺族を思うと何も言えません。かなりハードな作品でしたが、こういった事実を知られたのは良かったです。
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