茶一郎

ルイスと不思議の時計の茶一郎のレビュー・感想・評価

ルイスと不思議の時計(2018年製作の映画)
3.4
 両親を亡くした孤独な主人公が!ポンコツ二流魔法使いの下で呪文の修行を!
 スピルバーグ率いるアンブリン・エンターティメントによる『BFG』以来のファンタジー・アドベンチャーな様相で、これは家族連れで安心して観に行ける王道エンタメ作が誕生!と思いきや、監督の名前を観てみると「イーライ・ロス」なのですから驚き。
 イーライ・ロス監督と言えば『ホステル』、『ホステル2』という21世紀の傑作「拷問ポルノ」シリーズを手掛け、最近では『食人族』にオマージュを捧げた食人映画『グリーン・インフェルノ』などが記憶に新しい、何より今まで監督した作品全てがR-15以上という、ご存知の通り、残酷・悪趣味上等なホラーの帝王です。

 そんなイーライ・ロス監督がスピルバーグから「怖く作って」と注文を受けたという本作『ルイスと不思議の時計』は、もちろん愉快な魔法、呪文を体感できる王道ファンタジーの反面、やはり「イーライ・ロスじゃん!」と思わずツッコミたくなるイーライ・ロスが隠れていないファンタジー・ホラーとして楽しむことができました。
 そもそも幽霊屋敷ならぬ魔法屋敷は『死霊館』と見間違えるほどに怖い人形や仕掛けが多数ある完全に「幽霊屋敷モノ」の構え。また絶対、ファンタビシリーズでは見られない魔法生物による脱糞をしつこくギャグする姿勢や、どう見ても血液としか思えないほどにカボチャの汁をグチャグチャとブチまける中盤以降のアクションシークエンスは、もう食人映画ですよ。
 デル・トロ産『パンズ・ラビリンス』、『永遠のこどもたち』、『怪物はささやく』などの最近の孤独な少年の「想像」とファンタジーとを掛け合わせた作品群とは大きく異なる明快さも、逆に新鮮です

 そもそも『ジュラシック・パーク』に顕著なようにスピルバーグは子供の悲鳴が大好き、直接的では無いにしろ残酷描写上等な悪趣味な監督という一面もあり、製作に回ったアンブリン・エンターティメント産の大ヒットファンタジー『グレムリン』は(こちらも本作監督イーライ・ロス同様ホラー出身の)ジョー・ダンテ監督による切り株描写を含んだ残酷なホラー映画でした。
 そんな子供を怖がらせるためだったら何だってするスピルバーグとイーライ・ロスは、どこか同じ領域で共鳴するような映像作家なのだと思います。そしてイーライ・ロスはしっかりジョー・ダンテ路線をこの『ルイスと不思議の時計』で継承してみせた。にしたって脱糞ギャグ、しつこすぎませんか?