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ルイスと不思議の時計のJIZEのレビュー・感想・評価

ルイスと不思議の時計(2018年製作の映画)
2.7
両親を亡くし孤児となった10歳の少年が不思議な力を使える二流ポンコツ魔法使いの叔父が暮らす古い屋敷で世界を破滅に導く邪悪な力を持った時計を探し奮闘する様を描いた子供向けファミリー映画‼︎渋々2D吹替で鑑賞。ゴア本家の監督イーライ・ロスが今回は食人族級の鋭い投げやりを鞘に納め規定路線から逸れて迂回したジュブナイル的冒険映画の新たな産物が誕生した。所感は筆者が大絶賛する傑作ファンタジー映画『レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語(2004年)』での"向かう先々で不幸に見舞われる様"を踏襲したような世界観だ。また親元の死去が原因で主人公が摩訶不思議な日常に不運にも飛ばされ不幸の起因に立ち向かう様は諸に共通した点だと言えるのではないか。簡潔にまとめれば主人公ルイスの好奇心が暴走し過ぎで作風の軽量感が否めなかった。つまり語り口そのものが耐え難いほど稚拙でそれに伴う周囲のお気楽に事態の異常さを見守るおどけ感や10歳のガキ相手に翻弄される振り回されっぷりも観ててかなりつらいものがある。敵陣にあたるパンプキンお化けや他諸々のお遊戯会で登場しそうな印象に残らない雑魚キャラの数々による視覚で堪能できるサブ要素がなければあまりの本編の停滞感ぶりに座席上で埋葬されてました。またジャック・ブラック演じるジョナサン叔父さんの適度にユーモアを挿入するぎゃぐ視点がなければ大駄作だった気がしなくもないあまりに普遍的すぎる子供における子供向けファミリー映画ではないか。

→総評(鬼才イーライ・ロスの緩々な新境地開拓)。
総じて字幕版で観たかった…声優をあてた高山みなみの声がどうもコナン君にしか受け取れず最初から最後まで名探偵コナンの実写版を観てる感覚にならなくもない。字幕上映?が少ないのは何か他の理由があるんでしょうか…また肝心の魔法描写自体も既視感モリモリで過去のどのファンタジー映画も越えれてない印象を受けてしまった。また主人公たちが暮らす世界を破滅に導く邪悪な時計の存在でもほぼ後半まではその屋敷の恐るべき秘密が掘り下げられないため取ってつけた感や元々あまり重要じゃなかった感じがして山場の描き込みに失敗した印象を受ける。振り返れば血の儀式にルイスが加担してる事実からも偶然が偶然に重なり不幸が連鎖して最終的にはああなった…程度にしか見えず悪が甦る理由に必然性がこのプロットにはなかった。ただ叔母役のフローレンスを演じたケイト・ブランシェットが身軽で魔力が宿った傘を振り回す様は格好良かったです。というよう最恐のイーライ・ロス作品ながら彼ならではの即発的なヤベエ要素が刻印されておらずどの視点でも過去にどこかで観た映像の埋め合わせに過ぎず駄作だと感じました。ただ字幕版で観れば評価が変わったのも事実。またジョン・ベレアーズ原作の児童小説「壁のなかの時計」を読み込めば評価が覆る可能性も多少なりとも考えうるためやはりベースの原作を端から端まで熟読して万全の状態で本作の鑑賞に挑む事をぜひ字幕版でお勧めします。
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