るるびっち

ルイスと不思議の時計のるるびっちのレビュー・感想・評価

ルイスと不思議の時計(2018年製作の映画)
3.3
亡くなった母親への悲しみを乗り越えて、少年が疑似家族を築く話。
ルイスは学校で友達ができないとか、唯一の友達の気をひきつける為に禁断のルールを破ってしまったとか、彼の悩みは一見そう見える。
だが真の願望は友達のことではなく、「亡くなった母親に会いたい」というもの。
表立っては言わないが、夢で母親を見たり(実は裏がある)中盤になってついに吐露することで発覚する。
この辺り、偶然にも「若おかみは小学生!」と似ている。児童文学の鉄板パターンなのだろうか?

他に隣人の魔女も、家族を失った痛みで魔法が使えない。
ドジな魔法使いの伯父さんも、家出して家族を捨てた悲しみが癒えていない。
三人とも家族を失ったトラウマ抱えている。
その三人が喪失感を乗り越え結託して敵と闘い、トラウマを乗り越えていく。

なので、ルイスにとっての弱点は友達ではなく「母親への執着」だった。
敵は当然そこを突いてくる。
ルイスが敵に勝つには、母への執着を乗り越えねばならない。
伯父さんたちの手を借りず、彼自身の力で乗り越えねばならない。
母親を象徴する占いの水晶玉がある。
安物のオモチャで、予め刻まれた言葉が順繰りに出る仕掛けだ。
偶然か必然か、悲しい言葉が出てルイスは決意をする。

色々と「若おかみ」と似ているのだが、あちらがある種壮絶なのと比べて緩い分、感動は薄いかも知れない。
しかし子供にキツイことを強いる「若おかみ」に比べ、ルイスの方が子供への視線が優しい気がする。子供への試練はこれくらいで十分じゃないだろうか?
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