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ある少年の告白のJUNのレビュー・感想・評価

ある少年の告白(2018年製作の映画)
3.9
儚さや画面の美しさではなく、強く清く心が美しい映画だった。
自らの存在を罪と言われ、言わされ、胸を張って生きることのできない彼らの苦しみを、敬虔な彼らはどうして理解できるだろう。宗教・神という絶対的存在と信仰の中でのジャレッドの苦悩が痛いほど伝ってきて、信仰ではなく母親として彼を手放しに愛する母親の愛に思わず涙。

「人が争うのは宗教や信仰の違い」というのはよく言ったもので、この作品ではLGBTQの映画に珍しく宗教的な問題を題材にしている。ジャレッドが受ける施設での虐待とも言える矯正や、親からの執拗な避難。私がもしジャレッドだったら、逃げ出したかもしれない。
自分を肯定することも、表現することも、「神に対する罪」という言葉で塞がれて。こんなに悲しい事があって、なぜ人々はこれを差別とは言わないんだろう。
ただ、宗教というのはとても難しいとも思うので、きっとこれから先もLGBTQに括られる人々は世界に根付く信仰と戦って行かねばならないのだろう。
そんな時、少しでも多くの人が彼らを肯定することができる世の中になったらいいなと思う。

Lucas Hedgesは、美しくも悲しげで、それでも強さを感じさせるとてもステキな物語を演じてくれたなと思った。
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