LalaーMukuーMerry

ある少年の告白のLalaーMukuーMerryのレビュー・感想・評価

ある少年の告白(2018年製作の映画)
3.9
自由の国アメリカにごく最近まであった同性愛者の矯正施設、そこと深いつながりがあったのは教会の宗教指導者。そのプログラムを受けた人は70万人にも上るという。そのプログラムから逃げ出し、そこで何が行われていたかを告発した本人の体験をもとにつくられた映画です。
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くだらないプログラム、なんでこれが矯正につながるんだ? 秘密主義のもと社会と隔離して、自由を取り上げ、(暴力的ではないものの)有無を言わせず強権的にプログラムをやらせるだけの、要するに洗脳のようなもの。これで人が変わるとは思えないし、受ける人はこころの奥底で不服従の気持ちを抱えながら、表面で従順になる術を覚えて社会に戻るか、絶望に陥るかだ。結局のところ何の意味もない施設。
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エンドロールに大きな驚きがあるから見逃すな!(なるほどそうか、インチキ野郎め!)
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同性愛者はなぜそうなるのか? 後天的なものなのだから直せるはずと考えることまでは内面の自由があるから構わない(と思う)が、「普通」に戻してあげよう、などと本人の同意もなく行動に出ると問題が生じる。人の好みを否定するのはプライベートを否定すること、それは人格を否定することと同じ。人の尊厳を保ったまま人格を無理やり変えることは決してできない。それよりも認めること、そっちの方がずっと未来がある。そんなことを改めて感じた。彼の母(=ニコール・キッドマン)が最後に示した行動と勇気に拍手。嫌~な内容の映画だったが、見る価値はあった。
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似たような(いやもっとひどい)こと、人格を変えさせることを本気でそして徹底的に異民族に対して強制している国が日本のすぐ近くにある。そのことが不気味でならない。