No.2806
LGBTQや、他の様々なマイノリティーの人々を受け入れられるかどうか、それは
「自分はマジョリティー側だと自認している人々による、多様性の受容力」と密接に結びついている。
しかし、世の中には、マイノリティーを受け入れるとか受け入れないとか以前に、自分の周りにも、マイノリティーは当然のように存在する、ということが、理解できない人がたくさんいる。
最もやっかいなのは、「そういう人がいるのはわかっちゃいるんだけど、僕の思想や信念上、受け入れちゃうわけにいかないんだよねー」というパターン。
この映画では、そのパターンを描いている。
「神の名の下に」絶対に同性愛を受け入れることができない父と、
「神の名の下に」苦痛を受け入れることを強要される息子、
そして「神の名の下であろうがなかろうが、息子の苦痛を受け入れられない」母。
監督のジョエル・エドガートンというと、マッチョな俳優というイメージが私にはあって(それは多分に「ウォーリアー」の影響がでかいw)、
監督作は今まで見ていなかったのだが、期待以上で素晴らしい。
そもそも、本作はアメリカ映画で、舞台もアメリカなのに、アメリカ人の主要キャストは、ルーカス・ヘッジズしかいない!!
エドガートン⇒オーストラリア出身
ニコール・キッドマン⇒オーストラリア育ち(生まれはハワイ)
ラッセル・クロウ⇒ニュージーランド出身
グザヴィエ・ドラン⇒カナダ出身
テオドール・ペルラン⇒カナダ出身
ジョー・アルウィン⇒イギリス出身
トロイ・シヴァン⇒オートストラリア育ち(生まれは南アフリカ)
フリー⇒オーストラリア出身
見事なまでにインターナショナルである。
当然、意図的なキャスティングであろうが、すでに多様性が展開されているのである。