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ホテル・エルロワイヤルのFREDDYのネタバレレビュー・内容・結末

ホテル・エルロワイヤル(2018年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

ドリュー・ゴダード監督によるクライム・サスペンス作品である本作は、カリフォルニアとネバダの州境に建つ寂れたホテル「エルロワイヤル」を舞台に、1969年、ある男が何者かに射殺されてから10年後のエルロワイヤルに集まった、それぞれが重大な秘密を抱えた7人の男女によって思わぬ事態が巻き起こっていく様が描かれたものとなっているのだが、まず触れたいのは、本作はある程度の予備知識がないと映し出されるものから面白さが伝わらない作品といったところで、内容としては、怪しげな神父ダニエル・フリンやセールスマンのララミー・シーモア・サリヴァン、黒人女性のダリーン・スウィート、ホテルスタッフのマイルズ・ミラーなど、これまでに関わりのない人生を送ってきた登場人物ら一人一人の視点から時間軸を交錯させながら、それぞれに抱えた秘密や過去、エルロワイヤルに隠された真実を明かしつつ、命すらも脅かされるほどの思わぬ事態に巻き込まれた彼らによる群像劇が辛辣な社会風刺とともに描かれ、数々の予測不可能な展開には頷かされましたし、予想が外れた時の気持ち良さもある。とくにラウンジでのダリーン・スウィートの一発は思わず笑ってしまった。そしてジェフ・ブリッジスやクリス・ヘムズワース、ダコタ・ジョンソン、ジョン・ハムなどといったキャスト陣の顔ぶれもまた魅力の一つとなっていますし、何よりも本作の舞台であるホテル「エルロワイヤル」が、かつてフランク・シナトラとシカゴ・マフィアのボスであるジアンカーナが所有していたカルネバロッジがモチーフとなっており、セールスマンに扮してホテル内を捜査していたララミー・シーモア・サリヴァンの目的や、ダニエル・フリン神父が見つけたフィルムがジョン・F・ケネディのある疑惑に関してのものという点や、物語の後半に登場するビリー・リーもきっとチャールズ・マンソンをモチーフにしたキャラクターなのでしょうね。ホテルスタッフのマイルズ・ミラーがベトナム戦争でのPTSDの被害に苦しんでいることもそうですし、本作は物語よりも"物語の背景"を楽しむ作品かと。
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