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ウィリアムズのmaverickのレビュー・感想・評価

ウィリアムズ(2017年製作の映画)
4.0
2017年制作のドキュメンタリー映画。F1チームのウィリアムズ創設者であり、現在もチーム代表であるフランク・ウィリアムズの半生を描く伝記映画になっている。チームを通した彼の話で構成されており、位置づけはF1のドキュメンタリー。フェラーリ、マクラーレンと並ぶF1の名門チームが如何にして誕生し、その歴史を現在まで辿ってきたか。彼の人生と紐づけながらそのことを知れる貴重なドキュメンタリーとなっている。ひと昔前に自分はF1大好き人間で、フジテレビで深夜に放送されていた番組を必ず観ていた。日本では今でこそ地上波で放送もなくなり、マニアックな部類となってしまったF1というコンテンツだが、全盛期は知名度もかなり高かった。その人気を牽引したのがF1界のスーパースター、音速の貴公子と言われたアイルトン・セナ。F1は知らない人でも、この人を知っているという人は多いと思う。日本での彼の人気も相当のもので、彼が活躍した90年代初期の日本でのF1人気も凄かった。自分がF1に魅せられたのもセナの影響。マクラーレンホンダを駆るセナの圧倒的な魅力にすぐさま虜となってしまった。そのセナがレース中にこの世を去ってしまう。94年のサンマリノグランプリ。忘れもしない。その時に乗っていたのがウィリアムズのマシン。セナを語るうえでウィリアムズというチームは外せない。長らくライバルであり、そして彼がこの世から旅立つマシンとなった。セナについて詳しくは『アイルトン・セナ~音速の彼方へ』というドキュメンタリー映画があるので、是非そちらも観てもらいたい。そんなセナのファンだった自分にとって、ウィリアムズチームはずっと悪者だった。マンセル、プロストというセナのライバルが乗るマシンだったから。でもセナの事故以来、ウィリアムズというチームが好きになった。セナの死を通して、彼らがどれだけセナを愛しているかが伝わってきたからだ。セナのために絶対にこのシーズンは負けられないという気迫が伝わる戦いぶりだった。この年、見事にコンストラクターズを制している。セナがいなくなった後、デイモン・ヒル、ジャック・ビルヌーブというウィリアムズのドライバーを応援していたなぁ。と、長々と自分のF1の歴史を話してしまったが、F1好きにとってはウィリアムズというチームに思い出も人それぞれにあると思う。本作ではそんなウィリアムズを深く知ることが出来る。フランク・ウィリアムズ本人はもちろん、チームゆかりの関係者たち、そして彼を支える家族が語り部として登場する。本作の基になっているのは彼の妻、ジニーの著書であり、そこには彼との出会いから長い結婚生活の全てがありのままに書かれている。彼がどのようにして妻と出会い、家族と接してきたか。面白いのは、そこから彼が本当にレース人間なのだなと分かる所。お世辞にも世間一般的な良い夫、良い父親ではないのが見て取れる。はっきり言って奇人変人のレベル。でも、そんな彼だからこのチームを作り上げることが出来たんだろうなと理解出来る。奇人かもしれないが、同時に偉人であるのだ。そんな彼をずっと支えた妻、父の後を継いでチーム副代表に就任した娘の愛の深さをも知ることが出来る。残念ながら現在では低迷してしまったウィリアムズチームではあるが、闘将フランク・ウィリアムズは生きている限り勝利への情熱を失ったりはしない。復活は十分あり得るだろう。F1は莫大なお金が動いている世界だから映画化も凄く大変で、様々なドラマがある割には全然映画が作られないんだよね。こういうドキュメンタリーでもいいからもっと作ってほしいと思う。
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