フライ

暁に祈れのフライのレビュー・感想・評価

暁に祈れ(2017年製作の映画)
4.3
タイで暮らすボクサーのクズなイギリス人青年が、麻薬にハマって警察に捕まり、投獄された事で、獄中で活動するムエタイチームとの出会いにより変わって行く実話ベースのバイオレンスヒューマンドラマ。

ビリー・ムーアと言うイギリス人の自叙伝を映画化したストーリーは、兎に角リアル!獄中でのケンカは当たり前。刑務官からの麻薬密売や男性同士のレイプ、自殺や殺人など劣悪過ぎる環境の中、外国人のビリーが、全身刺青だらけのヤバすぎる厳ついタイ人と接しながら、ムエタイとの出会いや悪習による命の危機から如何にして彼が変わって行くのか終始緊張感の漂う凄まじい作品。
唯一微笑ましかったのは、タイらしくニューハーフと恋に落ち一喜一憂するビリーの姿が滑稽で少し和んだ。

かなりと言うか本当にヤバイ作品!ドキュメンタリーを見ているかの様な錯覚に陥る内容は、背景を知って納得。実際のタイ刑務所と受刑者が撮影に協力しているのでリアルなのは当然だが、狂気の演出やムエタイの近接によるハードなカメラワーク、無駄な音楽の排除とムエタイシーンの凄まじさ、そしてビリー・ムーアを演じたジョー・コールの迫真の演技など、全てが上手く重なり圧巻の内容に終始気圧された。ラストプチ驚きの出演者に納得の迫力が。
この映画見たら微笑みの国タイのイメージは消えるが、圧倒的な迫力と演技にかなり楽しめた。但し、暴力系が嫌いなら絶対観ない方がいい作品。
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