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ミッシング・チャイルド~呪いの十字架~のhorahukiのレビュー・感想・評価

3.3
失踪した息子を探している父親が、全く関係ないところで発生した不審死亡事件から息子失踪の真実を探っていくサスペンスホラー。

未体験ゾーンで公開された作品で、クソ映画臭がプンプンするジャケ写のせいで敬遠してましたが、結構楽しめました♫ちなみに十字架は大して物語に関係ありません!笑

あらすじ…
子どもが失踪してしまった精神科医の主人公。全く手がかりがないがどこにいるのか探していた。そんな中、全身に無数の十字架の跡が刻まれた不審な自殺死体が見つかる。その自殺者は主人公の息子の失踪について執拗なほど調べていた痕跡が。自殺者を辿ると、過去にいじめられ、事件を起こし失踪した少年が浮かび上がる。主人公の息子の失踪と過去の少年の失踪は何か関係があるのか…という話。

一見関係なさそうな2つの視点で物語が進行していきます。ひとつはあらすじにも書いた、息子が失踪した父親が、謎の不審死事件から息子失踪の謎を追うミステリー的な物語。もうひとつは子どもを流産で亡くし冷え切った夫婦が、人里離れた地でホテルの開業準備中に怪奇現象に見舞われるお話。どちらも子どもを亡くした親ということ以外は特に共通点がないのですが、その2つが意外なところで交差します。

ジャンル自体はホラーに分類されていますし怪奇現象も発生するのですが、恐怖演出によって観客を怖がらせようといったことはそれほど重視してなくて、根深い事件に端を発する陰惨で静かな北欧ミステリー的な作品になっています。

とはいえ、ホラー要素を疎かにしてるわけでは全くなく、超常的現象に起因する事件をミステリーの文脈でしっかりと破綻することなく綺麗に処理しており、ホラーとミステリーをかなり高度なレベルで融合させている。物語の根幹部分は完全にホラーなんですけど、それをミステリーでコーティングすることで、観客に純粋なミステリーを見ているかのように錯覚させつつ、ラストで一気にホラーへと引きずりこむ。

ただ、二視点構成がそこまで大きな効果を生んでるかというと少し疑問だし、過去の事件についても、もう少し描きこみが必要だったように思います。途中で出てくる弁護士からの急速な謎解きも強引に思うし、ラストも違和感。二組の親子の対比も特に活かされることもなく、ミステリー要素のためだけに小手先だけで展開してるように思う箇所が多い。

そんな感じで気になるところも多かったのですが、なかなか面白かったです。やっぱり今年の未体験ゾーンはクオリティ高めですね!ホラーしか見てないから他ジャンルは知らないけど(笑)
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