叡福寺清子

ミッシング・チャイルド~呪いの十字架~の叡福寺清子のネタバレレビュー・内容・結末

3.0

このレビューはネタバレを含みます

広い.寒い.人口密度低い.画面に空間が一杯ある.
日本とは大きく異なる自然環境で歴史を積みかねると違う人生観・宗教観にもなるのかと思ったが,子供が行方不明の両親の苦しさや若年層のいじめ問題は人としての根幹で変わらないのね.
老人達の連続死亡事故.共通するのは背中の十字架の傷.謎を追うのは女刑事と行方不明になった息子ベンニの生存を信じる精神科医のフレイル.
夏は避暑地として賑わう島で半分朽ちた家を民宿にリフォーム中のガルザー/カトリーン/リーフの3人.
2つの物語がどう絡むのかが本作の肝.こーゆーのはどっちかが過去のお話でもう片方のイベントに「そうだったのか!」って繋がるなって所までは予想できる.
その2つの物語を結ぶキーパーソンが1956年に行方不明となったベルノーデェス君.父親から虐待され,シェルター先でもいじめられと「そりゃ化けて出たくもなるわな」と可哀想な男の子.しかもガリッガリのこ汚い姿で登場するから怖いより同情心が喚起されちゃう.
可哀想といえば民宿組のカトリーンさん.流産しただけでもショックなのに浮気相手が妊娠ですもの.その哀しみにベル君が反応するのは当然の事だろう.
アイスランドの寒空,誰の魂も救われず,ただただ哀しみが降り積もるだけであった.