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かぞくいろ―RAILWAYS わたしたちの出発―のtoshiのレビュー・感想・評価

4.5
RAILWAYS最新作ですが、それ程このシリーズに興味は無く前2作は未見です。が、今回鑑賞を試みようと思ったのは私の故郷である鹿児島が舞台だからです。

私は故郷があまり好きではありません。上京して既に30年程が経ちますが帰省する度に過疎化が進み、空港から実家へ帰る道のりは何時も気持ちが沈んでしまう程街並みが悲しく辛くなります。だからあまり好きにはなれません。でも何故か今作は予告を拝見した時から観てみたいと思っていました。
そして観終えた今、やっぱり観てよかったなと思いました。何て優しくて暖かい作品なのでしょう。今作を観ただけで容易に故郷を好きになる事は出来ませんが、少なくとも帰省する度に悲しくなるのはもう止めようと思いました。

有村架純さん演じる昌は青木崇高さん演じる修平と再婚。修平には連れ子の駿也が居ますが血がつながらないとはいえ昌とも仲良く幸せな3人家族です。が、突然の夫修平の死。昌と駿也は行くところもなく疎遠だった義父節夫を訪ねます。我が子の死を後妻と孫から聞き戸惑いながらも二人との同居生活を受け入れる節夫。新しい家族となったこの3人は共に生きていくことが出来るのでしょうか・・・。

有村さん、青木さん、子役の歸山 竜成さんだけでは今作はここまでの良作にはならなかったであろうと思いました。やはり節夫演じた國村隼さんの存在が大きいです。作品自体が引き締まっている感じがしましたし、だけどとても優しい気持ちになれたのは國村さんのその演技がただただ素晴らしかったからだと思います。また今作鹿児島が舞台ですが、毎回思うのは鹿児島が舞台になると役者さんの方言とイントネーションがどうしても気になってしまいます。ただ國村さんは完璧でした。って調べたらお隣熊本のご出身でしたのでなるほどと納得です。

九州新幹線開通に伴い廃止も余儀なくされた肥薩おれんじ鉄道。今作でも説明がありますが第三セクター鉄道会社が経営し、熊本の八代と鹿児島の川内間を走るディーゼルエンジンの気動車が日々走っています。私もまだJRだった時、こんな素敵な路線名ではありませんでしたが剣道の大会会場へ向かう際によく利用していました。
因みに川内は「かわうち」ではありません。これで「せんだい」と読みます。

エンドロールでおれんじ鉄道の風景と、バックに流れる斉藤和義さんのカラーという曲があまりに素晴らしすぎてたまらず涙。

田舎の風景、のどかに走る気動車・・・。ちょっと毎日忙しいなぁとお疲れな方にはお勧めな一本です。

【余談1】
野生の鹿が出てくるのですが、CGが酷くてちょっと引きましたw

【余談2】
通路を挟んで私の隣に座って居る初老のご夫婦。旦那様のポップコーンが止まらない。上映中盤ではガサゴソ音が作中内の音かと思う程ポップコーンが止まらない。もはや映画を観に来ているのかポップコーンを食べに来ているのか分からない。と、思っていたら床へ箱を落としポップコーンをまき散らす。それでも箱に少し残ったであろうと思うポップコーンをまだ食べる。なんという執念。 でも数秒で空っぽになったみたいでした。まさか床のポップコーンを食べないよな?と思ったのですが、流石にそれはありませんでしたw

【余談3】
今作を観たらサツマイモ入りのカレーを食べたくなります。
私も今晩は久しぶりに作って食べようと思っています。
普通にじゃがいもですけど。
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