くわまんG

スペースウォーカーのくわまんGのレビュー・感想・評価

スペースウォーカー(2017年製作の映画)
4.5
なにこれすごい量の涙出た。実話ベースですが、フィクションのような不思議な力を持つヒューマンドラマでしたねぇ。

みどころ:
異常に深く移入できる心象描写
リアル宇宙モノの怖さが上質
プロパガンダとは別種な現場の熱
お話自体は予想の範囲内

あらすじ:
冷戦時代のソ連。宇宙への新たな一歩を先んじることが勝利であり、そのためなら人命は二の次だった。世界初の宇宙遊泳、それが今の至上命令。
計画の設計主任ザーリャは、人道にもとりかねない国策に心痛めながらも、宇宙飛行士を探していた。その目に留まったのはレオーノフ少佐、腕はピカイチだが向こう見ずで、相棒のベリャエフ中佐に大怪我を負わせてしまうほど。それでも彼には、“何一つ諦めない理由”があった……。

例えば他人の体験談やなんかを聞いていて、まるで自分の身に起きたことのように、その機微までわかることがあります。ああいうのは、話の熱量や技量が充実しているだけじゃ起こりません。聞き手の記憶の潜在的な部分、意識できない深部に強烈に訴えるものを含んでいるんだと思います。

記憶は主観的だからこそリアリティを凌駕しうるんだろうなぁとか、それで冷静に「共感できる」なんて言ってられないんだろうなぁとか、誰が製作指揮を執ったか最後に明かされた時、そんなようなことを感じました。

ストーリーや演出だけに注目したら、良いけど飛び抜けてはいない印象。にもかかわらず、幼少期の思い出とリンクするところや、最後のザーリャの表情、空港のシーン、と要所でいちいちボロボロに泣かされたのは、そういった不思議な作用が働いたか…あるいは歳のせいか笑