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縮みゆく人間のKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

縮みゆく人間(1957年製作の映画)
3.0
No.321[核戦争の恐怖と父性神話の崩壊] 60点

第五福竜丸がビキニ環礁で死の灰を浴びた3年後の作品なので、放射性物質や原爆に対する恐怖が表れているのは明白だが、前年の『ビガー・ザン・ライフ』に代表される父性の崩壊とも捉えられる。妻よりも背が高い屈強な男は徐々に背が縮んでいき、それに(正確にはそれに伴う)憤慨する。二度も。しかし、全体がこの8年後に撮られた『The War Game』のような悲惨な映画かと言えばそうでもなく、『猿の惑星』のような異世界サバイバルを身近な世界で行っているといえば良いのか。私が同じ状況になって"無"にはならないから大丈夫と思えるかは微妙だが、それくらいのぶっ飛んだラストじゃないと締めくくれないよな。彼もまた量子世界に囚われてミシェル・ファイファーと出会ったりするのだろうか。

初期の縮む描写でシャツが大きいと感じる、靴が大きいと感じるというのは想像の範疇だが、指輪が抜けるというのには驚いた。あと、クラリスの登場には旧時代的なルッキズムを感じる。彼女がサーカスに出ていた小人症の女性なら同じことが起こっただろうか?
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