mimitakoyaki

ザ・思いやりパート2 希望と行動編のmimitakoyakiのレビュー・感想・評価

3.8
「ザ・思いやり」の1作目は見てなくて、いきなり2から見たのですが、知らない事がいっぱいあって、ニュースにはならないけども地道におかしいと思う事に対して行動してる人が世の中にはたくさんいるんだなと思いました。

何の映画かと言うと、在日米軍のために使われている「思いやり予算」についての映画で、日本に住むアメリカ人の監督が、なぜ払う義務もないのに日本は在日米軍の兵士1人あたり年間1500万円も税金を使っているのか、1軒5500万円もする米軍住宅やゴルフ場やプールなどの娯楽施設、光熱費、アメリカにいる家族への仕送りなど、そんな事に日本の税金が使われてるのに、日本人はあまり知らないし気にしてない、そういう事に疑問を感じて制作したとのことです。

まあ正直言って、作りはかなりチープで、テロップのフォントとか使われてる音楽とか、いろいろヘタクソでセンスがないのが残念ですが、内容自体は面白く考えさせられる事がいっぱいです。

面白かったのは、監督がアメリカに行って、アメリカ人に思いやり予算について街頭で説明し、どう思うかインタビューしたら、たくさんのアメリカ人が、日本はなんでこんな事してるの?クレイジーなの?おかしくね?なんで誰も怒らんの?と素直に驚いて首を傾げていました。

きっと日本人は、でも米軍に日本を守ってもらってるんやから仕方ない…となりがちですが、ほんとに在日米軍が日本を守ってるのかを考察するために、青森の三沢基地でやってるお祭りに監督が行って、戦闘機のパイロットに、この戦闘機でどこかに行ったのかと尋ねると、「ヨルダンやシリアに行って爆撃して帰ってきたところ」と教えてくれたんですね。

それで、監督は青森駅前で通行人に、三沢基地を拠点にヨルダンやシリアで米軍が空爆してる事は、日本を守っていると思うかなどを聞いたら、多くの人が、それは日本のためではない、やめて欲しい、嫌だと言ってました。

これまでもベトナム戦争、朝鮮戦争、湾岸戦争、イラク戦争などなど、日本から飛び立って空爆してきたわけです。

在日米軍は日本を守っているのか、米軍基地がある街で何が起きているのかを訪ねながら検証し、基地のある街で暮らす人たちから話を聞いていました。

米軍兵士が運転する車ではねられて事故にあっても、被害者への賠償金をなぜか日本が出している事など、ナンデヤネン⁈ な事実がたくさん出てきて虚しくなってきました。

少子高齢化、学費の高騰、格差貧困、社会保障の薄さ、保育所不足などなど、日本が抱える問題って山ほどあって、国が税金の使い道を変えたら解消する事がたくさんあると思います。

一方で、防衛費はここ数年、過去最高を更新し続け、来年度予算では5兆円を計上。
そして、米軍様には優しい思いやりで贅沢な暮らしを保障してるって、一体なんなんだろうと悲しくなります。

どうせ何言っても同じ、選挙に行っても同じ、デモやってもムダみたいに諦め、目の前にある事から目を背けさせられ、牙を抜かれて、気づけば国自体がブラックに。

こないだ見た韓国の「1987」では、多くの市民が権力の暴力にも屈せずに闘って民主化を勝ち取った事が描かれていましたが、それとは対照的な日本…
それでも、「米軍ではなく被災地に思いやりを」と訴えて署名を集めてる人や、米軍による犯罪で理不尽な目に遭い、公正さを求めている人、豊かな自然と静かな暮らしを守るために新基地建設に反対する辺野古や高江の人たちなど、困難にもめげずに闘っている人がちゃんと日本にもいる事を知りました。

自分は何ができるか、何かしてるのかと言えば、特に何もしてない情けない私ですが、まずは問題意識をちゃんと持てるようになって、おかしなことはおかしいと声を出せるようになりたいです。

米軍基地への潜入取材など、ちょっとマイケル・ムーアっぽいところもあり、笑えるところもありました。
問題提起としては良かったけど、作りのセンスの問題で点数が低めになってしまいました。

88
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