レインウォッチャー

(r)adius ラディウスのレインウォッチャーのレビュー・感想・評価

(r)adius ラディウス(2017年製作の映画)
2.5
なにごともスピード感重視の現代において、「オレに近づくと火傷するZE…」なんてヌルいことは言ってられない。即死だ、即死。

男(殺しちゃう方)と女(中和する方)が物理的に離れられないという、能力がニコイチになってる設定はなかなか珍しい。活用してもっと色々できたのでは?と思うけれど、そういったシチュエーション大喜利よりは「罪の在処とは…」みたいな人間ドラマのほうに力点を置こうとしている。
とはいえ中盤以降は結末まで「ですよね〜」の連続であるため、相槌の練習をしたいときに最適かもしれない。会話術研修とかで使えば良いと思う。

この作品が作られたのち、ソーシャルディスタンス待ったなしの「不用意に近づいちゃダメ」な世界がマジに実現してしまったのはなんとも笑えない皮肉だ。
今作は能力の源やメカニズムについてはあまり興味がないようで、「とりあえず死ぬ」が貫かれる。その理不尽さや得体のしれなさもまた、わたしたちがこの数年で直面した不安と奇しくもリンクするところがある。
だからこそ、それでも近くにいる人を大事にしなさい…というメッセージにとれなくも、なくもない、こともない。

配信/ビデオスルーっぽい小ぢんまりした感じがありつつ、取り立てて駄作というほどの印象もなかったのだけれど、観た後でふとタイトル表記の意味に気づき、「ダサ!」というショックでスコアを0.5星ほどどこかに落っことしてしまった。50フィート以上遠くに転がってしまったので、もう取りに行けなさそう。