TAK44マグナム

(r)adius ラディウスのTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

(r)adius ラディウス(2017年製作の映画)
3.6
近づくものは皆んな死ぬ!


自動車事故で記憶喪失になった男が、本人も知らぬ間に究極の殺人マシーンになっちゃってましたよ!ってお話。
殺人マシーンといっても、別に機械の身体になったとか、格闘技のプログラムを脳みそにインストールしたとかではなくて、ただ突っ立っているだけで、半径(=ラディウス)15メートル以内の生物が勝手に死滅してくれちゃうのです☠️
なんて恐ろしいの!


その男、リアムが目覚めと、自分の名前さえ思い出せなくなっていました。
周囲に助けを求めますが、どこへ行っても白目をむいた死体だらけ。
恐ろしくなったリアムは、なんとか持っていた免許証から自宅を見つけ、物置小屋に潜みます。
ニュースではバイオテロの可能性も示唆していましたが、リアムは外にいた男が近づいた瞬間に死んだ事から、「自分が原因なのでは?」と思い当たるのでした。
何故、近づいた者は動物でさえ突然死してしまうのか?
はたして、リアムは自らの身に起きた真実を解き明かすことができるのでしょうか・・・?


ラディウスなんていうから、コナミの懐かしい横スクロールシューティングゲームの親戚か何かだとは思わなかったけれど、これはなかなか斬新な設定ですな。
正体さえ知られなければ最強の殺し屋になれる能力でしょ。
少年ジャンプとかの能力バトル系漫画に出てきそう。
遠距離狙撃でもされない限りは、ほぼ無敵のチート能力ですけれど、唯一無効化するのがジェーン(ローズ)という女性。
彼女もまた、記憶を失っていて、自分が何者なのかを知るためにリアムに近づいてきますが、何故か彼女は(他の者も)死なないのです。
それどころか、ジェーンがリアムから離れると、また死の能力が発動しちゃうというシステムになっているんですね。

この後、警察に指名手配された2人は、隠れ潜みながらも謎を解明するために奔走します。
ある協力者も得て、少しずつ記憶が戻ってゆきますが、実は恐ろしい事実が記憶の扉の向こうに隠されていたのでした。

投げっぱなしの締め方になるのではないか?と若干、危惧しながら観ていたのですが、一応すべての謎に説明がつくのは、こういった系統の低予算SFにしては良心的だと言えるでしょう。
リアムたちの能力については説明不足はありながらも、「こういった事もSFなのだからあるかもしれないな」と納得できるものでした。
放射性のクモに噛まれたらスパイダーマンになったり、雷にうたれたらフラッシュになったりするのと同じ理屈ですね。
とにかく、よく分からないパワーが原因で、能力が無理やりに身についたってヤツ。

それはそれとして、本作にはもうひとつ謎が提示されます。
失った記憶についてですね。
リアムとジェーンは何故、一緒にいたのか?
本来、結びつくはずのない2人の男女がどうして?
彼らの正体が判明する終盤はSFから離れ、よく見かけるタイプのサスペンスものへと転がってゆきます。

そこで、リーアム・ニーソン主演の「アンノウン」でも思った疑問なのですが、記憶が戻ったらその者の本質もまた戻るような気がするんですけれど、どうなのでしょうか。

ただの不条理なSFスリラーで畳まなかったのは評価に値すると思うのですが、このオチは賛否が分かれるところでしょうね。
切なくなるか、馬鹿馬鹿しいととるか、観る人によってかなり印象が変わるラストだと思います。


最近流行りの?終始「ブォーンブォーン」といってる不穏そうなBGM、人が、動物がバタバタと倒れてゆくショッキングなビジュアル・・・
能力の原因を含めて、総じて安っぽいけれど悪くない。
嫌いじゃないですよ、こういう感じ。

しかし、この能力をもって渋谷や新宿の人混みを歩いたら、それだけで「デスノート」や「いぬやしき」の大量殺人どころの騒ぎじゃないですよね(汗)
人間も所詮は微弱な生体電気信号でコントロールされているというのが良く分かる死にっぷりは、人間をまるでオモチャのロボット人形のように描いていて、ある意味チェーンソーでバラバラにされる描写よりも恐ろしく感じる向きもありました。


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