まぐ

千と千尋の神隠しのまぐのレビュー・感想・評価

千と千尋の神隠し(2001年製作の映画)
4.8
正直昔見たときはただ画面の迫力に圧倒されていただけでしたが、大人になってから見てみると内容や構図などにも隙のない大傑作であることに気づきました。

この映画が世界中に支持される理由として一番に精密な背景美術やキャラクターが織りなす世界観があることは間違いないと思うのですが、テーマもまた素晴らしいものでした。大人になること、を、親に着いて行くだけだった千尋が千として油屋で働くことを通して描いているだけでなく、大人になるにつれ失ってしまうものにまで着目し、それに気付いた千が千尋(元の世界)に帰ってくるという見事な着地までを描いています。主人公が成長する話は世にごまんとありますが、そこから先、なにかノスタルジックなものを思い起こさせるような展開は宮崎監督の作家性ではないでしょうか。

ジブリスタッフが新たに立ち上げたスタジオポノックの新作、メアリと魔女の花の予告編を見たときに初めて気付いたことですが、宮崎作品の画面の密度は異常だと思います。世界観の説得力にも影響しているのですが、あれだけのものを、観客に無駄なものと思われないように配置するのは実はめちゃめちゃ難しいんだなと気付きました。(もちろんメアリと〜を卑下する訳でなく、宮崎作品の1つの魅力という意味です)

また復帰されるとのことですが、何度辞めると言ってもまた必ず戻っていただき、世界を驚かせ続けて欲しいです。
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