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スパイダーマン:スパイダーバースのシネラーのレビュー・感想・評価

4.5
スパイダーマン映画として
初のアニメ映画であり、
アカデミー賞も受賞した本作を再鑑賞。
公開当時も数回劇場へ足を運んだが、
スパイダーマンを好きで良かったと思う
その内容と独特なアニメーションは、
今でも素晴らしいと思う。

スパイダーマンと同等の能力を得た
高校生マイルス・モラレスが、
別次元からやって来た
スパイダーマン達との出会いを通して、
自身も新たなスパイダーマンとして
奮起する物語となっているが、
マイルスのスパイダーマン
としてのオリジンを描きつつ、
別次元からやって来た
スパイダーマン達を描くという、
基本的なヒーローのオリジンと
夢のヒーロー集合を見事に描き抜いた
そのバランスは見事だと思う。
登場するスパイダーマン達が互いの
孤独感を共感し合い、
皆が一人じゃないと知るという、
ある種のスパイダーマン達の救済とも
呼べる展開にもなっており、
そこがファンとして感傷的
になってしまう部分と言えるだろう。
マイルスのオリジンにおいても
悲しみの伴う犠牲がある中、
それを理解してくれるのが周囲の
スパイダーマン達というのが何とも尊く
感じられる部分だった。
アメコミ原作をそのまま動かしたような
アニメーションは素晴らしく、
登場人物や背景といった点は勿論、
印刷された本のように細かく表現された
作風は独自性に溢れていた。
又、音楽と映像が見事に合わさった
場面も多数あり、
マイルスがスパイダーマンとして
夜の街を駆ける場面は特にお気に入りだ。

多くのスパイダーマンが登場するが、
マイルスと師弟関係のような関係を結ぶ
ピーター・B・パーカーは、
中年のピーターで少し落ちぶれた部分
や弱味がありつつも、
マイルスの影響で自分自身も
ヒーローの芯を取り戻していくように
感じられて、個人的に一番好きな
スパイダーマンかもしれないと思った。
スパイダーグウェンに関しても、
その格好良さや振る舞いの美しさが
グウェンとしてもスパイダーウーマン
としても魅力的で、
コメディ場面では彼女がツッコミ役
になる部分もあって面白かった。
物語後半にかけて登場する
ノワール、ペニー、ハムの
三人のスパイディは欲を言えばもっと
描写が欲しかったと思うが、
少ない場面でそのキャラクターらしい
要素が組み込まれていて、
大きな不満という訳ではなかった。

スパイダーマンを全く知らない人でも
楽しむ事ができ、
ファンとしては様々な角度で楽しめる、
アニメーションとしての面白さと
スパイダーマンの良さを存分に描いた
傑作だと思う。
ある程度スパイダーマンは知ってる
という職場の同僚も、
本作はまだ観ていないという事なので、
今度ショルダータッチで勧めてみるとしよう。
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