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スパイダーマン:スパイダーバースのtagomagoのレビュー・感想・評価

4.2
アメコミの表現を映像化したという意味では過去最良の映画でした。スパイダーセンスや吹き出しの描き方など面白さ多数。画面の隅々までに配置されている情報の数に目眩を起こすほど。とにかく静止している場面が少なくほぼ何かが動いている。でかい画面の前で体験する映画だ。アメコミを読んでみたいと思わせた時点でこの映画の勝ち。スパイダーマン・ノワール読んでみたい。そして過去のスパイダーマン(特にライミ版スパイダーマン)にオマージュを捧げている点にグッときてしまう。ライミ版で偉大な発明だったスイングの気持ち良さがアニメーションの力を借りてこの映画で受け継がれている。それだけでも見てよかったと思える。

まだ自分の体を上手く扱えない、心のバランスが取れないために本来の能力を発揮できないが成長する過程で自分を見出していくストーリーラインはスパイダーマンそのもの。ウジウジした時間は短ければ短いほどいいが不思議と嫌ではなかったのがマイルスくんのキャラの良さもあるし後ろでかかってる音楽が良かったから。マイルスくんが聴いてるSunflowerが良し。
師匠又は先輩スパイダーマンがいることが物語の幅を広げた感がある。ヒロインや叔母さんの存在はあるが基本的には孤独というイメージ。スパイダーマンはいつも隣人として寄り添っていてくれたが本作では同じ能力を持つ者の力を借りて成長する姿が熱い。

フィル・ロードとクリス・ミラーが製作脚本の時点で成功は約束されたようなものです。もちろん過去のスパイダーマンの先輩方の力があってこそだが誰でもヒーローになれるというテーマを1作で描き切る。その卒のなさに感服いたしました。良く出来すぎている分、こちらが入り込む余地がないというか、完璧がゆえにそこまで愛着が湧かないのも若干あって。捻くれてますね。エンドクレジット後のオマケ映像が一番笑いました。
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