てっぺい

スパイダーマン:スパイダーバースのてっぺいのレビュー・感想・評価

4.0
【映像美も次元を超える映画】
時空を超えて色んなスパイダーマン達が共闘するワクワク感。さらに二次元アニメの共存、時空の不思議な映像表現、シリーズならではの逆さまになる天地、それこそ次元を超えた映像美で没入必至。
◆概要
第91回アカデミー賞長編アニメーション賞受賞作品。シリーズ初のCGアニメ映画。監督はボブ・ペルシケッティ、ピーター・ラムジー、ロドニー・ロスマンの3人。製作は「LEGO(R) ムービー」のフィル・ロード&クリストファー・ミラー。声の出演に「バンブルビー」のヘイリー・スタインフェルド、「グリーンブック」のマハーシャラ・アリ、「フェイス/オフ」のニコラス・ケイジら。
◆ストーリー
何者かによって時空が歪めらる事態が発生し、全く異なる次元のさまざまなスパイダーマンたちが、ニューヨークの中学生スパイダーマン、マイルス・モラレスの世界に集まる。そこでピーター・パーカーと出会ったマイルスは、彼の下で一人前のスパイダーマンになるための特訓を開始する。
◆感想
見終わった後、単純に「面白かったー!」と思える作品。エンターテイメントがたくさん詰まっていて、スパイダーマンのコアファンでない自分でも十分楽しめたし、同時にコアファンならめちゃくちゃ楽しい映画だったんだろうと悔しい気持ちにもなる笑
まずは沢山のスパイダーマン達が何種も登場して、共に戦うワクワク感。映画半ばの“サソリチーム”と戦うくだりなんか、それぞれの個性がうまく調和して大きなうねりになるような、独特の爽快感。事前に簡単に各キャラについて調べておいて良かったと思う反面、コアファンならこの技がこうでこのキャラ設定があってこうでなんて、この映画に散りばめられたイースターエッグ(小ネタ)を色々語るんだろうなと勝手に舌を巻く始末笑。この後勉強して、あのシーンはあんな意味があったんだとアハ体験しようと思います。しかしピーターポーカーの「マンガなめるな」には笑った笑
そしてやはり特筆すべきが映像美。ピーターポーカーやペニーパーカーなどの2次元型と他の3Dキャラが共存するワクワクな映像美しかり。“時空を越える”設定だからこそ生まれる、時空の歪みの映像美、特に後半の時空空間でのバトルは延々とカラフルで不思議な映像が続く。さらにスパイダーマンシリーズならでは、天地が逆さまになる独特の映像表現も随所に散りばめられ、世界観に酔う。マイルスが覚醒して、街を飛ぶシーンの、スローで街が逆さまになるシーンが息を飲む美しさでとても印象的だった。
そんな三要素が際立ち、それこそ映像美の次元を超えている映画だと思う。今回初の3Dドルビーシネマでの鑑賞だったけど、選択は正しかったかもしれない。
“誰でもスパイダーマンになれる。何だってやれるしいつも仲間がいる。そんなメッセージが伝わったらいいな”とラストに明確なメッセージの輪郭を残したのも美しい。ワクワク感や映像美だけで済ますのではなく、中学生が主人公という今作の設定を十分に活かして、映画の骨の部分をしっかり形成していたと思う。
余談だけど、本作には“日本版スパイダーマン”に登場するキャラクターもカメオ出演(ほんの一瞬登場する事)しているらしい(https://theriver.jp/sm-sv-leopaldon/)。もっと言えば、スパイダーマンの生みの親、スタン・リーとスティーブ・ディッコが昨年逝去しており、そのカメオ出演やカメオレベルでない出演もしていると言う(https://theriver.jp/sm-sv-stan-lee/)。おそらく今作は調べれば調べるほどオマージュや工夫が見つかる、宝探しのような楽しみ方もできる、「レディ・プレイヤー・ワン」のような映画なのかもしれない。
この感想を書きながら、この映画が単にエンターテイメントで満載なのではなく、そんな映画を見終わった後の楽しみ方すら与えてくれる、多角的な深みのある映画なのではと思うようになってきた。アカデミー賞獲る作品って、やっぱり深い。
てっぺい

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