『僕のヒーローアカデミア』
舞台は世界の人口の8割が超常能力「個性」を持つことが当たり前となった世界。
そこでは個性を悪用する犯罪者「ヴィラン」を取り締まる「ヒーロー」が憧れの職業となっていた。
最高のヒーロー「オールマイト」に憧れ、ヒーローとなることを夢見る少年、緑谷出久(みどりやいずく)。
だが、彼は生まれつき何の能力も持たない「無個性」だった。
これはヒーローを養成する雄英高校に入学した緑谷少年(デク)が、「最高のヒーロー」になるまでの物語である。
『2人の英雄』
数々の難関を乗り越え、何とか期末試験も終わり、夏休みの林間合宿を控えた雄英高校1年A組の面々。
デクとオールマイトは、ある人物からの招待を受け、海上の巨大都市「I・アイランド」を訪れていた。
そこでは、まさに世界中の研究者たちの英知と数々の研究成果を展示した「I・エキスポ」が開催されていた。
そしてデクは無個性の少女メリッサと出会う。
彼女にかつては同じ無個性だった自分を重ねあわせるデク。
だが、最強のセキュリティを誇るアイランドがヴィランに掌握され、島内全ての人間が人質に獲られてしまう。
いま、ヒーロー社会を根底から覆しかねない「ある計画」が発動する。
その鍵は平和の象徴オールマイトが握っていた...。
本作は、大人気コミックのTVアニメ劇場版第一作だ。
雄英高校の人気キャラの紹介的だったり、サイドストーリー的な位置付けだったりではあるが、原作の熱量を孕んだまま、各キャラクターを活写した佳作となっている。
デクは、オールマイトから受け継いだ個性「ワン・フォー・オール」がまだ使いこなせず、使用する度大怪我してばかり。
しかし、メリッサが提供したサポートアイテム「フルガントレット」のおかげで、劇中限界以上の性能を発揮できるようになる。
やはり外連味たっぷりに必殺技を繰り出し、縦横無尽に活躍する主人公を観るのは気持ちが良い。
また、アニメ本編では描かれていないオールマイトの若き日の物語が挿入されている。
世界的科学者である親友デヴィットとバディを組み、アメリカの市街でヴィランとの攻防を繰り広げるオールマイトの姿は、文句なしに格好良いの一言だ。
「どのような状況であろうと、助けを求める人は見捨てない」という確固たる信念も、この当時から見て取れるのがうれしい。
そして、ラストバトル。
デヴィッドをも巻き込む驚愕の真実が判明したあとの、オールマイトとデクの共闘は興奮必至だ。
ワン・フォー・オールという同じ個性を持つ二人。
個性を制御できず必死に戦うデクの姿に、若き日のオールマイトの姿を重ねたデヴィッドは、自分の考えの間違いに気付く。
このシーンは原作ファンの心に響くものだろう。
原作の熱量を程よく溢れさせる内容は満足の一言だ。
ハナマル!
2020/07/19