HicK

名探偵ピカチュウのHicKのレビュー・感想・評価

名探偵ピカチュウ(2019年製作の映画)
3.7
《しわチュウ、ゲットしたいぜ》

【感謝】
制作陣の愛が溢れ、幼少期にポケモン赤緑をプレイした自分にとっては感謝の気持ちでいっぱい。

【しかし】
名探偵と言いながら謎解きはだいたい、待っていると答えの方からやってくる。偶然答えに遭遇し続けるという文字通りのB級ファミリーエンタメ。また、ちょっと訳のわからない説明や描写があったり、逆にもう少し教えて欲しかったりする場面もあった。悪役もキッズムービーらしい。

【それでも伝わる愛】
自分にとって何がマイナス要素を消していたかと考えると、制作陣のポケモンマスター魂やポケモン愛だと思う。全編通して特性を活かした設定やオリジナルアニメをリスペクトした作り。実写化にあたりファンが心配していたポケモンたちのビジュアル面も、アレンジを控えめに抑えながらもリアリティーを出すという絶妙なバランス。説得力がある納得のデザインばかりだった。"しわチュウ"を始めポケモンが可愛すぎてつい見入ってしまい字幕が頭に入って来なかったので何度も見てしまった。アニメ版ピカチュウの声優起用と使い分けもとても良かった。

【嬉しいファンサ】
最後のライアン・レイノルズの演出も感動的。ピカチュウの鳴き声が入るタイミングも完璧。ステキなラストだった。そしてエンドクレジットのテーマ曲。久しく聞いてなかったので感動。オリジナル原画に加えてゲームボーイ版原点へのリスペクトや日本語表記の演出など、制作陣の「熱」に圧倒された。ポケモンマスターとして汗水流した自分にとってはご褒美。

【サイバーパンク】
ブレードランナーにインスパイアされた街の情景や音楽も不思議さを生み出していて、街全体の遠目のアングルにワクワクが止まらなかった。ずっとライムシティをみていたい。

【年々変わるリメイクの正義】
昔のリメイクといったら98年の「GODZILLA」に代表されたように、オリジナルの解釈を変えたもん勝ちというか、いかに独自のアイデンティティを出し、オタク文化を大衆化させるかが優位になってしまい評価を得られなかったが、現在では「ゴジラKOM」や「アベンジャーズ」を筆頭に、オリジナルリスペクトもしくは原作の熱量をさらに上げるようなオタク要素の追求が見える作品が増えている。ストーリーに多少の欠点はあっても、その熱量で支持されやすいのかもしれない。そういった要素が今作のポケモンからも感じて、成功した要因のひとつだと思う。オタクを尊重すると金が入ってくる。

【総括】
あそこで暮らしたい。しわチュウをゲットしたい。オタクに配慮した結果、全てのポケモンマスターの心に火がついた作品。(全てかは分からないが)
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