『ポケモンと人間が共生する世界』をリアルなものとして実写化する、その世界観の作り込みの本気さに恐れ入った。画面の隅々まで生活感があってリアルなのに、ファンタジックで胸踊る。ポケモンに思い入れのない自分でも作り手の圧倒的な熱意と愛にほだされ高揚した。
『探偵モノって事はフィルム・ノワールでしょ?それなら・・』って事でまさかの35mmフィルム撮影である(撮影監督はリドリー・スコット組や「ローガン」を手掛けてきた名手)。そのフィルムの重みと照明・カメラワークのガチさが映画を更に本気のものにしている。
黒幕の目的が意味不明過ぎるのが玉にキズだが、フィルム・ノワールの渋い謎解きと可愛くてファンタジックなポケモン世界の融合は独特の楽しさがある。ピカチュウの声がデッドプール、じゃなくてライアン・レイノルズというのがこの映画の楽しさを体現している、そうなんと言うかギャップの楽しさ。
やっぱり『ピカチュウの皮を被ったデップー』的な感じもあって、冒頭で「デッドプール」のタクシー運転手ドーピンダー役の人が出てくるのでますますデップー味が増してくる。確実に「デッドプール3」でネタにしてきますね。
それにしてもモフモフでおっさん声のしわしわピカチュウ、死ぬ程可愛い。ぬいぐるみ欲しい、モフモフでお腹押したらライアン・レイノルズの声で喋るようなやつ。あと精神病スレスレなコダックや凶悪なカラカラも可愛い・・・みんな可愛い・・・
主役2人(1人と1匹)のシリアスな所はしっかりシリアスにやる好演のお陰もあって、父と子のドラマもきっちりと描かれている。監督が良作「グースバンプス」の人なので、ドラマも抜かりない。
エンドクレジットの絵と音楽もスタッフのヤバイくらいの愛が溢れんばかりで感動的。ただエンドロールの最後の最後に流れるのが何故かLDHの曲(ハイロー ザム2のジェシーのキャラソン歌ってた人達、ってなんかハイローの事になると隠語みたいな単語ばかりになるな)。何故だどうした。